チーム医療の要!医師に求められるリーダーシップの重要性

Doctor Leadership

より質の高い医療の実現・患者の多様なニーズに対応していくため、チーム医療の必要性が高まっています。その中で、医師のリーダーシップが求められている場面が増えています。

そこで本記事では、チーム医療における医師のリーダーシップの必要性やリーダーシップに必要なスキルについて解説します。チーム医療における連携事例などついてもご紹介しますので役立てていただければ幸いです。

1.チーム医療においてのリーダーシップとは?

チーム医療において、医師がリーダーシップを発揮する場面は多く存在します。チーム医療において医師に求められる大切な役割の1つが、リーダーシップを発揮してチームを統括することです。

医師の指示に基づいて医療行為が実行されるため、医師はチームの意見を汲み取りながら、全体を把握し適切な指示を与えていく必要があります。ここでは、チーム医療が必要とされている理由や、チーム医療における医師の役割について解説します。

1.1 チーム医療とは

チーム医療とは、1人の患者に対し、複数の医療スタッフが連携して治療やケアをすることです。チーム医療では、多種多様な医療スタッフが専門性を発揮し、業務を分担しながら連携・補完し合うことが期待されています。その結果、患者の状況に沿って、的確に対応した医療を提供することが大切です。

近年、質の高い医療を求める患者やその家族の声が高まる中で、医療の高度化や複雑化が問題視されています。これらを解決するために、チーム医療ではガイドラインやプロトコルを活用し、医療スタッフの知識習得が進められています。これらを活用することで治療の標準化が進み、スタッフの専門性が高められ、患者により貢献しやすくなるでしょう。

1.2 チーム医療が必要とされている理由

チーム医療が必要とされている理由として、厚生労働省では、以下の通り解説されています。

質が高く、安心・安全な医療を求める患者・家族の声が高まる一方で、医療の高度化・ 複雑化に伴う業務の増大により医療現場の疲弊が指摘されるなど、医療の在り方が根本的 に問われる今日、「チーム医療」は、我が国の医療の在り方を変え得るキーワードとして注 目を集めている。

引用:厚生労働省「チーム医療の推進について」

チーム医療では、各専門職を集め、それぞれの専門職の知見や経験をもとに、患者が抱える悩みを解決します。チーム医療では、主に以下の専門職スタッフが存在します。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 管理栄養士
  • 検査技師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 医療ソーシャルワーカー
  • 臨床工学技士

また、その他のチーム医療のメリットとしては疾病の早期発見や回復促進、重症化予防などが挙げられます。このようにチーム医療で上手く連携することにより、医療の効率性が向上し、医療従事者の負担軽減が期待できます。

1.3 チーム医療の中での医師の役割

チーム医療の中での医師の役割は「舵取り」です。チーム医療に属するスタッフの知識や意見を引き出し、その中から患者にとって最善の医療を探らなければなりません。

医師は患者の病態を把握し、それに対する診断と治療方針を決定します。このように医師の指示に基づいて医療行為は実行されるため、チーム全体へと適切な指示を出すことも医師の大切な役割です。

チーム医療の一員として医療スタッフと連携して意見を汲み入れながら、チームが有効に機能するようにリーダーシップを発揮する必要があります。

2.リーダーシップとは?求められる必要なスキルとは

医師のリーダーシップとはどんなものを指すのでしょうか。ここでは医師のリーダーシップに求められるスキルや、今後求められるチーム医療について解説します。

2.1 リーダーシップとは

リーダーシップとは、グループの中で目標達成する際に、リーダー自身が目標達成に役立つ影響をメンバーに対して与えることです。1940年代までのリーダーシップに関する研究では、リーダーは生まれながら持つ資質であるとされてきました。

一方で、その後の研究では、リーダーは特定の行動によって作られるというリーダーシップ行動論が提唱されています。つまりリーダーシップとは、その人自身が持つ素質から発揮されるものではなく、後天的に習得できるスキルということです。

リーダーシップは、マネジメントと混同されることがありますが、実際は別物です。マネジメントの場合は組織の保全を求め、リスクを減らし、組織を守らなけれなりません。また行動指針は内側に向いており、保守的です。

また、リーダーシップにおいては視点を外に向け、変化を求めながら、リスクを冒して改革を目指さなければなりません。チーム医療においては、患者の医療の質の向上を目指すために、変化を求め、改革していく精神が必要です。

2.2リーダーシップに求められるスキルとは

チーム医療では、患者自身が主体性を持って治療に向かうためにも「患者と一緒に治療に向かう」という支援体制を整えたチームを築く必要があります。

そんな中、必要となるのは各職種スタッフごとの役割を正確に理解し、各スタッフが医療提供を円滑に行うために環境整備を行うことです。

それぞれの職種で良好な情報交換・情報共有・連携がなされるよう、各メンバーにはたらきかける必要があります。上手くはたらきかけるためには、各メンバーと丁寧にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切です。その上でチーム全体が機能するために、効率を考え、必要なタスクを必要な職種スタッフに振り分けることが求められます。

ここで医師に求められるのは、職種がバラバラなスタッフをチームとして統率するためのコミュニケーション力や、信頼関係を構築するスキルです。これらの能力・スキルを養うためには、患者や他の医療・介護専門職はもちろんのこと、病院外の方とも常に丁寧なコミュニケーションをとり信頼関係が構築できる体験をいくつも重ねておくことが大切です。

2.3 今後求められるチーム医療とは?

チーム医療を推進する際には、医療現場の中で各スタッフの役割分担を明確にしなければなりません。そのためには、ガイドライン・プロトコルなどを活用した治療の標準化を浸透させ、一人ひとりに合ったチーム医療を実践する必要があります。また、今後チーム医療として求められるのは、地域医療との連携ではないでしょうか。

地域医療連携とは、病院やクリニックなどで行う治療にとどまらず、地域全体で住民の健康を支える医療体制を築くことを指し、健康維持や疾病予防、高齢者や障がい者への支援活動などの取り組みが行われます。今後は病院内だけはではなく、地域全体をチームとして捉えた医療を展開できる医師が求められるでしょう。

3.チーム医療現場での事例・連携方法

リーダーシップには、決まった型があるわけではありません。リーダーシップに求められるものは、時代とともに変化していきます。ここでは、現在の医療現場におけるチーム医療の事例・連携ついて2つご紹介します。

1つ目は、集中治療における事例です。

集中治療室では、多種多様重症疾患を抱えた状態で、心機能や腎機能肝機能や呼吸機能などが低下している患者が多くいます。そのため、各職種のスタッフがチームを組み、専門性をもとに治療の質や安全性の向上を図ることが重要です。

チーム内における医師の役割・業務内容は、患者の入院時、主疾患の治療・管理方針を決定することです。たとえば、合併疾患に関しては、他診療科へコンサルタントおよび治療協力を依頼します。さらに、チームが効率的に機能するようにリーダーシップを発揮し、各職種スタッフの医療スタッフに対し、方針に基づいた指示を与えなければなりません。

また、時間単位の病態変化に合わせて、治療・管理方針およびこれに基づく治療法の見直しをする必要があります。これらを家族への説明・同意をもとに行い、他診療科の医師や常駐する各職種の医療スタッフとの相談、指示出しを行い、緊急性に応じた医療を統括します。

2つ目は、回復期リハビリテーションチームにおける事例です。

回復期リハビリテーションでは、脳卒中患者や肺炎による廃用症候群患者などが多くいます。これらの患者の多くは高齢者であり、合併症や慢性疾患の再発などリスクを抱えています。このような状況の中で、障害を改善し、家庭復帰を支援していかなければなりません。そのためには、医師や看護師、その他の患者の日常生活に関わりを持ち、質の高いサービスを効率良く提供していくことが重要です。

チーム内における医師の役割・業務内容は、患者の入院時に、各職種スタッフとともに全身状態および障害の評価をすることです。また、患者の予後予測を行うと同時に、チームが有効に機能するようにリーダーシップを発揮し、各職種スタッフに指示を与えなければなりません。

医師は、チームリーダーとして、患者・家族が障害を乗り越え、地域生活に立ち向かえるように支援する必要があります。また、総合診療的視点に立ち、慢性疾患および再発・合併症の予防と治療を行い、急性期および維持期との連携を図っていく必要があるでしょう。

参照:厚生労働省「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」

まとめ

チーム医療が重視される現在では、医師にリーダーシップが求められる場面が増えてきています。

リーダーシップは時代とともに変化をし、決まった型があるわけではありません。だからこそ、日々のコミュニケーションを大切にし、信頼関係構築する経験を積むことで、自分らしいリーダーシップの型を見つけておく必要があるのではないでしょうか。

今後ますますリーダーシップは病院内だけでなく、地域医療の現場でも必要とされるスキルとなるはずです。今後のキャリアを築くためにも今一度「リーダーシップ」について考える機会にしていただけますと幸いです。