家族や友人、職場の同僚や取引先の方などが入院したとき、何を贈れば喜んでもらえるのか悩むものです。お見舞いは頻繁に行うものではないため、マナーや相場がわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、お見舞いの基本マナーから、相手との関係などを考慮して目安となるお見舞い金・品物の相場、喜ばれる品物選びまで、お見舞いに関する情報をまとめて紹介します。
渡す際のマナーについても触れていますので、いざという時にもスムーズに行動でき、相手に失礼のないお見舞いの作法について見ていきましょう。
目次
1. お見舞いの基本マナー
家族や知人、お世話になっている方が入院した際、お見舞いに行くのは気持ちの表れですが、マナーを守って失礼のないように接することが大切です。
ここでは、お見舞いの基本マナーについて説明します。
1.1 お見舞いのタイミング
お見舞いのタイミングは、入院先の病院の面会ルールや相手の病状によって異なります。病院ごとに面会時間は異なるので事前に確認が必要になります。病院によっては、朝夕や昼休みなど、診療や看護、食事の忙しい時間帯は面談制限がされている場合もあります。関係性にもよりますが、昼食後の14:00から16:00などの落ち着いた時間がおすすめです。
また、手術前後や容態が不安定な時期は、本人や家族に負担をかける恐れがあるため控えることをおすすめします。
親しい間柄であれば、早くお見舞いに行きたい気持ちもあるでしょうが、相手が落ち着いてからの方が良い場合もあります。手術後あるいは一般病棟に移って数日経ってから、体調を伺った上で訪問するのがおすすめです。
いずれにしても、事前に電話などで病院あるいは本人や家族に面会可能か確認し、日時を決めておくことが大切です。
なお、下記のような場合は、お見舞いは控えましょう。
- 相手が激しく衰弱している場合
- 手術の前後2~3日間
- 面会制限がある場合
遠方や公私の都合で入院中に行けない場合は、電話や手紙、メールでのお見舞いも検討してみてください。
1.2 服装
お見舞いの服装で大切なのは「清潔感」と「失礼のない服装」です。病院にお見舞いに行く際は、患者さんやご家族に不快な思いをさせないよう、服装に細心の注意を払いましょう。
まず、清潔感のある服装を心掛けましょう。シワや汚れのない衣服を選びましょう。派手な色や柄、露出度の高い服装は避けます。患者さんは体調が優れていないため、派手な色や柄、露出度の高い服装は刺激を与えてしまう可能性があります。また、喪服を連想させる黒や暗い色の服は避けましょう。
また、ヒールやサンダルは、歩く際に音が鳴ったり、動きにくかったりするため、体調の優れないお見舞い相手やご家族、周りの方の迷惑になるので避けるようにしてください。
1.3 挨拶・お見舞いの言葉
病室に入ったら、まず「失礼します。」「お邪魔します。」など簡潔で丁寧な挨拶の言葉をかけましょう。その後、相手の病状を気遣う言葉をかけます。
「入院されて大変でしたね。」「お加減はいかがですか?」など、相手の状況に合わせた言葉に続いて、「ゆっくり休んでくださいね。」など、体調を気遣い励ましの言葉も添えると良いでしょう。
なお、「心配です。」「大変ですね。」など、相手を不安にさせるようなネガティブな言葉は避けてください。相手の体調や病状に関する質問は控え、無理に聞き出そうとしないことが大切です。軽い話題や明るい話題で自然に雰囲気を盛り上げるようにしましょう。
1.4 病室での過ごし方
お見舞いの時間は長居せず、短時間で済ませましょう。相手の体調に配慮して、15分から30分程度が目安です。 病院によっては「1組1日15分」など面会時間が設定されているところもありますので、ルールに従ってください。
病室では静かに過ごし、他の患者に迷惑をかけないようにしましょう。大きな声で話す、携帯電話の着信音を鳴らす、通話するといった行為は避けましょう。
その他、風邪など体調がすぐれない場合は、お見舞いに行くこと自体を控え、延期を検討してください。複数での訪問は避け、多くても4人までの少人数で伺いましょう。子供連れは、感染症のリスクや他の患者の迷惑などを考慮して、できれば避けることをおすすめします。
2.お見舞いは現金・品物どちらがいいの?
お見舞いに何を渡すかは、相手との関係性や状況によりケースバイケースです。
品物と現金、それぞれ贈る際の注意点を踏まえて選択しましょう。
2.1 お見舞い金
お見舞い金は相手が自由に使えるため、必要なものの購入に役立てることができます。日用品や嗜好品の購入において、相手が商品を自由に選ぶことができるので、好みが分からず商品選びに悩んでしまうなどの心配がありません。
・注意点
お見舞い金を目上の方に渡すと失礼にあたることがありますので注意しなければなりません。また、関係性によっては相手に気を遣わせてしまうため、その場合はお見舞いの品を渡すことも検討が必要になります。
現金のみだと気持ちが伝わりにくいと感じる人もいます。特に、親しい間柄であれば、品物と一緒に贈ることでより気持ちが伝わりやすいでしょう。また、手書きのメッセージカードなどを添えるのもおすすめです。
2.2 お見舞い品
時間をかけて相手のことを考えて選んだ品物は、気持ちが伝わりやすいものです。手作りの品物はより気持ちを伝えることができるでしょう。
嗜好品や趣味のものなど、相手が喜ぶものもおすすめです。相手の好みや病状に合わせて選んだ気持ちがこもった品物は、相手にとって印象的な贈り物になることでしょう。相手のニーズに合わせて、入院生活で必要な消耗品や日用品など、反対に退院後も長く使ってもらえるようなものを贈ることもできます。
・注意点
相手の好みや病状に合わないものを選んでしまうと、かえって迷惑になってしまう可能性があります。例えば、甘いものが苦手な人にスイーツを贈ったり、花瓶が苦手な人に花を贈ったりすると、かえって迷惑になってしまいます。相手のことをよく考えながら喜んでもらえる品物を選ぶのは、意外と大変です。時間や労力が必要になりますし、高価な品物を選ぶ場合は費用もかかります。相手との関係性を踏まえ、予算に合わせて選ぶようにしましょう。
このように、お見舞い品と現金、どちらを選ぶべきかは相手との関係性や状況によって異なるため、相手のことを思いやり、気持ちが伝わる方法を選ぶことが大切です。
3. 【相手との関係別】お見舞い金・品物の相場
お見舞い金・品物の金額は、相手との関係性や自身の年齢、状況によって異なります。
お見舞い相手との関係性 | お見舞い金・品物の相場 |
家族・親戚 | 5,000円~10,000円 |
友人・知人 | 3,000円~5,000円 |
職場の同僚 | 3,000円~5,000円 |
職場の上司 | 3,000円~10,000円の品物 ※現金を目上の方に渡すのは失礼にあたることがあるので、この場合は品物を準備します。 |
取引先の方 | 10,000円~30,000円 |
友人や知人、同僚から高額なお見舞い金や品物をもらうと、相手はお見舞い返しに困ってしまう場合もあるので、親族の金額に比べて低めにするのがマナーです。
また、取引先の方へのお見舞いは、個人間のつもりでも会社を代表するものとなります。職場のルールや上司の判断に従いましょう。高額な品物は避け、失礼のない範囲で選ぶバランス感覚が大切です。
4. お見舞い金のマナー
お見舞い金をいざ渡すとなると、マナーがわからず困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ここでは、お見舞い金を渡す際の基本的なマナーについて紹介します。
4.1 包む金額について
日本では、偶数金額は「不幸が重なる」という意味合いがあり、お祝い事には避ける習慣があります。お見舞い金も例外ではありません。例えば、2万円ではなく、1万円または3万円のように、奇数金額を用意しましょう。
また、新札ではなく、折り目のある札を使います。新札は「祝儀」を連想させるため、お見舞い金にはふさわしくありません。一度折ったことがあるお札を用意しましょう。
4.2 封筒の選び方と書き方
お見舞い金には、白無地の封筒を使用します。派手な柄や色柄の封筒は避けましょう。水引は、紅白の結び切りを選びましょう。結び切りは、一度結んだらほどけないという意味で、「二度とこのようなことが起こらないように」という願いが込められています。
表書きには、「御見舞」と中央に大きく書かれたものを選び、筆ペンか毛筆を使って直下に自身の名字を楷書または行書で丁寧に書きます。
また、中袋の表側には包んだ金額を漢数字の旧字体で記入し、裏側の左下には自分の名前と住所を書きましょう。
参照:いい葬儀「お見舞い金の金額相場とマナー!お金の入れ方・袋の書き方・渡し方」
4.3 お見舞い金の渡し方
お見舞い金は、病院の面会時に直接手渡すのが基本です。
直接渡すのが難しい場合は、現金書留で送ることができます。その際は、封筒に自分の名前と住所を必ず書きましょう。
現金書留で送る場合の注意点は下記の3つです。
- 現金書留は、郵便局の窓口でしか送ることができません。
- 現金書留の郵送料金がかかります。
- 追跡番号があるので、相手に届いたことを確認することができます。
その他、お見舞い金と一緒に、励ましの言葉やメッセージカードを添えると気持ちが伝わりやすいでしょう。
5. 喜ばれるお見舞い品の選び方と渡し方
大切な人が入院した際、お見舞い品を選ぶのは悩ましいものです。
ここでは、相手への思いやりを伝えられる、喜ばれるお見舞い品の選び方と渡し方について紹介します。
5.1 お見舞い品の選び方
お見舞い品を選ぶ際は、以下のポイントを意識しましょう。
相手の好みや嗜好
好きな食べ物や飲み物、趣味に関連したものを選ぶと喜ばれます。
入院中は外出することが難しく、今までのように好きな食べ物や飲み物を気軽に手に入れることはできません。そのため、普段好んで食べたり飲んだりしていたものを選ぶと喜ばれるでしょう。ただ、食事制限がある場合もありますので、病状を把握しておくことは必要です。 また、安静にしなければならない時間も長く、暇を持て余す方も多くいるため、雑誌や漫画などの読み物は喜ばれる傾向にもあります。こちらも好みが分かれば大変喜ばれるお見舞い品になります。
季節や病状
季節や病状に合わせたものを選ぶことが大切です。
夏場は暑いため、腐敗しやすい食品や冷菓は避けましょう。冬場は体が冷えやすいので、温かい飲み物やカイロなどが喜ばれます。
病状によっては、刺激物や脂肪分の多いものは控えた方が良い場合があります。
実用性
消耗品や日用品など、実際に役立つものを選びましょう。
タオル、パジャマ、洗剤、石鹸などは、入院生活で必ず使うものです。退院後も使えるような、実用的な雑貨などもおすすめです。
避けるべきもの
・生鮮食品などの冷蔵保存が必要なもの
冷蔵庫を配置している病院もありますが、有料で借りられるようになっていたり、部屋から遠い場所に設置されていたりと不便な場合もあります。そのため、常温で保存することができるものを選択する方が良いでしょう。
・香りは控える
香水やアロマオイル、揚げ物など、香りや匂いが強いものが好みの相手もいるかもしれません。しかし、体調がすぐれない場合、そのような香りを深いに感じてしまうこともあります。また、他の患者のことも配慮し、香りや匂いのあるお見舞い品は避けましょう。
・その他
花(花粉症など)、鉢植え、観葉植物、生花(病院によっては禁止)、お酒、高価なもの
お花などの植物を贈り物として検討している方もいるでしょう。お花はお見舞い品の定番ではありますが、相手が花粉症の場合や水換えを頻繫にできない状況であれば避けた方が無難です。また、鉢植えや観葉植物は“根付く⇒寝付く”を連想してしまうため、お見舞い品として適しません。
高価なものは相手に気を遣わせてしまう可能性があるので、相手との関係性や状況を考慮し判断しましょう。
5.2 お見舞い品を渡すときのマナー
お見舞い品を渡す際には、熨斗(のし)・表書き・メッセージカードについて下記のマナーを守りましょう。
まず、お見舞い品には、必ず熨斗を付けましょう。水引は紅白の結び切り、表書きは「御見舞」または「御病中御見舞」とし、名前は下書きで書きます。
メッセージカードを添える場合は、励ましの言葉や感謝の気持ちを伝えましょう。シンプルな言葉であっても気持ちは伝わります。特に、手書きのメッセージカードを添えると、より気持ちが伝わるためおすすめです。
6.喜ばれるお見舞い品
ここでは、定番のお菓子や飲み物から、最新トレンドを取り入れた雑貨まで、幅広いお見舞い品をカテゴリ別に紹介します。
それぞれのメリット・デメリットとおすすめの選び方にも触れていますので、相手の方の好みや病状に合った、喜んでもらえるお見舞い品を見つけてください。
6.1 お菓子・デザート類
入院生活で気分転換できるお菓子やデザートは、老若男女問わず喜ばれる定番のお見舞い品です。手軽に食べられることができ、好き嫌いがあまりなく、日持ちするものが多いため選びやすいメリットがあります。
選び方は、相手の好みや病状を考慮し、個包装され日持ちするものを選ぶと良いでしょう。
・おすすめの商品
- 個包装されたクッキーやチョコレート
- ゼリーやプリンなどのデザート
- かりんとうやラスクなどの軽いお菓子
6.2 本・雑誌
読書が好きな方には、本や雑誌がおすすめです。時間をかけて楽しむことができ、気分転換になります。入院生活中に知識や教養を深めることも可能です。
タイトル選びのポイントは、相手の好きなジャンルを選ぶようにしましょう。また、読みやすい文字の大きさのものが無難です。文庫本など、持ち運びやすいものをおすすめします。
なお、読書が苦手な人や病状によっては読むのが辛い場合があります。相手の好みや状況がわからない場合は、風景の写真集などが向いています。
・おすすめの商品
- 小説やエッセイ
- 雑誌(週刊誌、月刊誌など)
- 漫画
6.3 飲み物
入院生活で水分補給は欠かせません。お茶やコーヒーなどの飲み物は、手軽に水分補給ができるので喜ばれます。
種類を選ぶ際は、相手の好みや病状を考慮し、カフェインレスのものや、ノンアルコールのものを選びましょう。冷蔵庫での保管などを考え、量が多いものや蓋がしにくいものは避けるとよいでしょう。
・おすすめの商品
- 紅茶
- 緑茶
- コーヒー
- 麦茶
6.4 雑貨
タオルやマグカップなど入院生活はもちろん退院後も役立つ雑貨は、実用的で喜ばれるお見舞い品です。
選ぶときは、相手の好みや生活スタイルに応じて、実用的で、実際に使えるものを選びます。デザイン性のあるものを選ぶと退院後も使えるのでおすすめです。
・おすすめの商品
- タオル
- ハンカチ
- ルームウェア
- マグカップ
- アイマスク
- 耳栓
- スリッパ
- モバイルバッテリー
6.5 食品
病院食が続いて変わった味の物が食べたかったり、入院生活で不足しがちな栄養素を補ったりできる食品もおすすめのお見舞い品です。
個包装で保存の効くものを選べば、栄養価が高く、健康に良く、退院後も食べられます。ただし、相手の好みや病状を考えること、日持ちするものを選ぶことが大切です。また、病院によっては食事制限や栄養管理の観点から飲食物の差し入れを禁止しているところがあるので事前に確認してください。
・おすすめの商品
- ヨーグルト
- ナッツ類
- ドライフルーツ
- 栄養ドリンク
- スープ
6.6 フルーツ
入院生活で不足しがちなビタミンやミネラルが豊富なフルーツを贈るのも良いでしょう。
フルーツは栄養価が高い上に、さっぱり食べられ、フルーツ盛りで贈ると見た目も華やかです。旬のものを選び、手間がかからない食べやすい大きさにカットされたものもおすすめします。
・季節別のおすすめフルーツ
- 春:いちご、さくらんぼ、メロン、キウイフルーツ、オレンジ
- 夏:スイカ、メロン、桃、梨、ぶどう
- 秋:りんご、ぶどう、柿、梨、イチジク
- 冬:みかん、いちご、キウイフルーツ、りんご、グレープフルーツ
6.7 商品券
好きなものを選んでもらえる商品券は、どんな方にも喜ばれる万能なお見舞い品です。相手の好みに関係なく手軽に渡せ、無駄がありません。
相手の好きなお店やブランド、嗜好品のもので、使いやすい金額のものを選びましょう。メッセージカードを添えて渡すとより気持ちが伝わります。
・おすすめの商品券
- 百貨店などで使える全国共通商品券
- QUOカード
- Amazonギフト券
- スターバックスギフト券
- 図書カード
6.8 お花・フラワーギフト
お花やフラワーギフトは、華やかで相手に気持ちが伝わるお見舞い品です。部屋が明るくなり、アロマ効果でリラックスできます。ただし、生花の場合、病院によっては持ち込み禁止の場合があるため注意しましょう。また、日持ちがしない、花瓶の用意や水の管理などで負担をかける、といった恐れがあります。
基本的に胡蝶蘭や観葉植物などの鉢植えは「根付く=寝付く」に通じることから、避けましょう。
・おすすめの商品
- カーネーション
- バラ
- フラワーアレンジメント
お見舞い品を選ぶ際は、相手のことを思いやり、気持ちのこもったものを選ぶことが大切です。
ここで紹介した内容を参考に、相手に合わせたベストのお見舞い品を選んでください。
7. まとめ
お見舞いをする際は、相手のことを一番に考えることが大切です。
- 相手の好みや病状を考えて、喜んでもらえる品物を選びましょう。
- お見舞い金のマナーを守り、失礼のないようにしましょう。
- 励ましの言葉やメッセージカードを添えて、気持ちを伝えましょう。
お見舞いは、相手への思いやりを伝える大切なものです。相手のことを思いやり、心を込めてお見舞いすることで、きっと気持ちが伝わるでしょう。