体調が悪くなった際は、かかりつけの主治医に診てもらうのが一般的です。
- 患者(内心):このお医者さんがあまり好きではないわ。
- 医者(内心):この患者は、気難しいなぁ…。
このような関係では、些細な体調の悩みを相談する事が難しいと言えるでしょう。以前に、「モンスターペイシェント」と呼ばれる医療機関に対して高圧的な態度をとる患者に関する記事を執筆しましたが、良い医療サービスを受けるためには、医師と患者で良好な関係を構築することは大切です。
「患者の健康のため」と考えて行動する医者ですが、当然人間です。そのため、好きな患者と嫌いな患者がいます。
長期的な関係になるからこそ主治医と良い関係を保つことは大切です。
本記事では、主治医に好かれる患者と嫌われる患者の特徴と、主治医からの説明を聞く際のポイントについて解説していきます。
1.医師(主治医)に好かれる患者の特徴
主治医に好かれる患者には、以下のような特徴があります。
もし実践できていない項目がある方は、次回の診療の際の参考にしてみてください。
1-1.診療中にイライラしない患者
主治医に好かれる患者は、イライラせずに診療に対応してくれます。
体調が悪い際はイライラしがちですが、そのイライラを主治医にぶつけてしまうと、良好なコミュニケーションがとれません。
患者の気持ちが落ち着いていると、主治医は診療に集中でき、診断や治療プランを正確に立案できます。
お互いに余裕をもった対応を心がけることで、より良い診療を行えるようになるでしょう。
患者がイライラしないことで主治医との信頼関係を築き、患者の状態を深く理解できるようになります。
●医療機関の対応が悪かった場合
- 「待ち時間が長い」
- 「受付の対応が悪い」
など受診をする際の不満もあるかも知れませんが、怒りをぶつけたとしても解決しません。
不満がある時には、冷静に「待ち時間が長くて大変なの。何か良い方法はないかしら?」など話をすることで自分の意見も通りやすくなります。
1-2.症状を時系列で解説してくれる患者
主治医にとって重要なのは、患者の症状を時系列で把握することです。
●症状の伝え方について
主治医に「風邪っぽいんです」と伝えるよりも、「3日前から咳が出て今日37.5度の発熱をしました」
と時系列で症状を解説してみてください。
症状の変化を把握できた主治医は、風邪だけでなくインフルエンザやアレルギー症状なども考慮して的確な診療ができるようになります。
ウイルスの潜伏期間や症状変化が正確に把握できるので、治療薬も現在の症状に合わせた物を選択しやすくなります。
患者が症状を時系列で解説することは、診療の精度を高めるために重要なプロセスです。
1-3.治療に前向きな患者
主治医の診療に前向きな患者は、治療過程をスムーズにするので診療時間の短縮につながります。
主治医が提案する治療や投薬に否定的だったり、そもそも治療自体にネガティブだったりする患者は、治療方針がスムーズに決まらずに主治医や他の患者に迷惑をかけてしまいます。
怪我や病気を治すためには、患者の前向きな姿勢が欠かせません。主治医が診療しやすいように、前向きな気持ちを作るように心がけてみましょう。
1-4.嘘をつかない患者
人と人のコミュニケーションでは、嘘をつかないことが重要です。
主治医と患者の関係においても、嘘のないコミュニケーションは信頼関係を構築するために重要になります。
例えば、処方された薬を飲んでいないのに飲んでいると言ったり、めまいがするのに伝えなかったりすると、主治医は適切な状況把握ができません。患者が嘘をつかないことで、主治医が正確な診断と治療を行うために必要な情報を得られ、治療の成功率を高めることにつながります。
薬を飲み忘れてしまったとは言いにくいかもしれませんが、主治医に対して誠実な対応が必要です。
1-5.主治医の言葉を記録してくれる患者
主治医の説明や指示を記録する患者は、提示した治療プロセスをより正確に実行してくれます。
口頭で受け答えするだけでは、家に帰ってから指示や説明を忘れてしまう可能性があるためです。
控えた方がいいと言われた食品や生活習慣を忘れてしまい、実践してしまうと症状の悪化や治療の長期化というリスクにつながります。
診療中に主治医の言葉を記録を残してくれる患者は、主治医から信頼されやすくなります。
1-6.意見をしっかりと伝えてくれる患者
自分の意見や懸念事項をはっきりと伝えてくれる患者は、主治医にとって診療しやすい患者だと認識されます。患者の意向を踏まえた治療プロセスを作れるので、お互いにとって最適な選択ができるためです。
例えば、解熱のために点滴をした方がいいと主治医が判断しても、患者が点滴が嫌いな場合ははっきりと意思表示しましょう。そうすることで、主治医は投薬治療など、別の治療を提案できます。
患者の意向に沿った治療プロセスを作ることは、主治医と患者の双方にメリットとなります。
1-7.症状や病気について知ろうとしている患者
現在の症状や抱えている病気について、インターネットや書籍で情報を収集する患者は主治医から好印象を抱かれます。収集した情報が全て正しいという保証はありませんが、主治医にその情報を伝えて確認し合うことで、治療に向けた意見交換ができるためです。
意欲的な患者には、主治医も薬の種類や違いを説明したり、治療方針の提案を複数したりと前向きに対応できます。頑張って治療しようと考えている患者には、主治医も出来る限りサポートしたいと感じやすくなります。
●注意点
インターネットや書籍に関する知識が「正しい」と医師の判断を否定する行為は、医者に好まれない行為です。
仮に知識があったとしても、専門家の判断をしっかりと聞く姿勢は持ちましょう。
万が一、明らかに違う・違和感があると感じた場合は、セカンドオピニオンを聞くことをおすすめします。
1-8.診察しやすい服装の患者
診察しやすい服装を選ぶことで、主治医は診療を円滑に行うことができます。
風邪や腹痛などの内科の診療では、聴診器を使って患者の状態を観察するのが一般的です。
その際に、上下繋がっている作業着やワンピースを着てしまうと、衣類の着脱に時間がかかって主治医や他の患者に迷惑をかけてしまいます。
冬場の診療では、診察室に入る前に上着を脱いでおくなどの配慮をすることも重要です。診療に適した服装で来院することで、主治医は患者の状態をより早く正確に判断できます。
2.医師(主治医)に嫌われやすい患者
主治医に好かれる患者がいる一方で、嫌われやすい患者も存在します。主治医に嫌われやすい患者は、主治医や看護師だけでなく、他の患者の診療にも悪影響を与える可能性があるためです。
主治医に嫌われやすい患者にならないように、具体的に解説していきます。
2-1.予約時間を守らない患者
時間に厳密な病院やクリニックでは、予約時間を守らない患者は主治医だけでなく、他の患者に迷惑をかけます。
予約時間に遅れることで、その後の患者の診療が遅れる可能性があるためです。
無断キャンセルや遅刻は、主治医との信頼関係を損なう原因にもなります。
急用でどうしても予約時間に間に合わない場合は、なるべく早めに連絡を入れて病院やクリニックの指示を仰ぐようにしましょう。
近年の電子カルテでは、患者のキャンセル率を算出する機能があるものがあります。
あまりにキャンセル率が多いと「注意すべき患者」と認識される恐れもあるため注意しましょう。
2-2.常にイライラしている患者
常にイライラしている患者は、主治医とのコミュニケーションを困難にし、不快な環境を作り出します。理由もなくイライラしている患者の対応は、主治医に必要以上のストレスを与え、負担を強いることにもなりかねません。
体調不良によるイライラを抱えている場合は、素直にその旨を伝えて主治医の負担を軽減するよう務めましょう。主治医と患者が積極的に意思の疎通をすることで、診療も的確に早く進行します。
2-3.威圧的な態度をとる患者
威圧的な態度の患者は、主治医や看護師との協力関係を損ねてしまいます。威圧的な態度は、治療過程における主治医のストレスを増加させ、問診や治療の進行を妨害する可能性もあります。
主治医と患者、どちらにも優劣はないので、人として適切なコミュニケーションをとるように心がけましょう。
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2-4.悪質なクレームや悪い口コミをする患者
無根拠なクレームや不当な評価をする患者は、病院やクリニックの評価に深刻な影響を及ぼします。このような行動は、医療施設の評判を害し、他の患者の治療選択にも悪影響を与えかねません。
診療内容やスタッフの対応に不満がある際は、威圧的にならず、冷静にその考えを伝えてみましょう。丁寧に説明することで、担当者も要望を把握して改善しやすくなります。
また、インターネット上での悪質なクレームは、訴訟問題に発展する可能性もゼロではないので、患者にとってもリスクがあります。
2-5.医療機器を破損させる患者
医療機器を意図的にあるいは不注意から破損させる患者は、病院やクリニックの運営に大きな支障をきたします。治療に必要な医療機器が使用不可となると、他の患者の治療に遅延が発生したり支障をきたしたりする原因となるためです。
また、医療機器は高額なので、病院やクリニックの財政に余分な負担をかけることにもなります。体調が悪くなって診療に行った際に機器が破損して遅延すると、多くの患者が迷惑だと感じるでしょう。
主治医やスタッフの説明をよく聞いて、機器の破損がないような配慮が大切です。
3.医師・医療従事者が困ってしまう患者の行動事例
少しでも症状を軽減しようと、来院前に色々な処置をしてしまう患者がいますが、主治医にとっては逆効果になる可能性があります。
主治医が困ってしまう患者の行動事例について、3点紹介していきます。
3-1.インターネットの情報を鵜呑みにする
インターネット上の情報を鵜呑みにする患者は、主治医の専門的な意見を無視する原因になります。
主治医が勧める治療プランに影響を与え、患者の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
主治医の治療プランよりもインターネット上の情報を優先してしまうと、主治医と患者間の信頼関係に亀裂を入れることにもなりかねません。インターネット上の情報は参考程度と考え、実際に診療してくれる主治医の意見を尊重することが大切です。
疑問に思ったことは主治医の見解を聞くようにすることで、お互いの信頼関係を構築できるようになります。
3-2.根拠のない処置をしてしまう
主治医の指示に従わずに独自の判断で根拠のない処置を行う患者は、自身の健康に害を及ぼすだけでなく、主治医の努力を無駄にするリスクがあります。根拠のない処置は、治療の効果を低下させ、場合によっては患者の健康をさらに悪化させることにもつながります。
また、根拠のない治療方法を選択することで、主治医の専門的なアドバイスや治療計画を無視し、治療を長期化させる原因にもなるでしょう。主治医としては、このような患者の勝手な行動を注意し、正しい治療方針を進めるための説明と努力が必要になる場合があります。
その結果、診療時間が長引いてしまい、他の患者の診療にも影響を与えてしまうことになります。
3-3.投薬やリハビリをし過ぎてしまう
投薬やリハビリを受ける際は、主治医から用法や回数に関する指示があります。しかし、少しでも早く治したいからと、その用法や回数を超えてしまう患者もいます。
投薬治療では、用法を無視してしまうと他の臓器にダメージを与えてしまったり、思わぬ副作用が出てしまったりするので危険です。リハビリも同様で、決められた回数や時間を超えて続けてしまうと体に負荷がかかり、治療を遅らせてしまう可能性があります。
少しでも早く不調を治したい気持ちは分かりますが、主治医の指示は必ず守るようにしましょう。
4.医師からの説明を聞く時のコツ
診療中に主治医が症状や治療について説明をしますが、その説明を最大限に活かすためにはいくつかポイントがあります。
体調不良を早期に解決するためには、以下のポイントを意識してみてください。
4-1.納得するまで質問する
主治医からの説明を理解し、納得するまで質問することは、治療過程において重要なコミュニケーションの一環です。患者が自分の状態や治療プランについて疑問を持つことはごく自然で、その疑問を解消することで積極的に治療に参加できるためです。
主治医に質問をすることで、患者は自分の健康に対する理解を深め、治療に対する不安を軽減できます。その結果、主治医の指示通りの治療に取り組めるようになるでしょう。
主治医にとっても、患者が説明を理解しているかどうかを確認できるので、質問はお互いにメリットがあります。
4-2.質問は簡潔にまとめる
主治医に質問する際は、要点を簡潔にまとめることが重要です。簡潔な質問を心がけることで医師は効率的に内容を理解し、患者の疑問に対して具体的で理解しやすい回答ができるためです。
長く複雑な質問は、主治医も本質を理解するのに時間がかかり、的確な回答ができない原因にもなります。要点を絞って簡潔に質問することを心がけましょう。
4-3.日常生活で気をつけるポイントを聞く
日常生活での注意点や予防策について医師に尋ねることは、健康管理のために極めて重要です。主治医のアドバイスをもらうことで、患者は日頃の生活習慣を改めたり自身の状態をより深く理解したりできるようになります。
特に、病気の再発を防ぐための食生活や運動習慣の変更や、治療の副作用を最小限に抑えるための対策などのアドバイスを求めることが有効です。日常生活における小さな変化が、長期的な健康維持に大きな影響を与えることもあります。
5.まとめ
患者が主治医に好かれるためには、単に主治医の指示に従うだけでなく、積極的に診療に参加する姿勢が重要です。
具体的には、自分の健康状態を時系列で伝えることや治療計画について質問し理解を深めること、そして主治医の助言を適切に実行することが含まれます。
同時に、主治医に嫌われる患者の行動をとらないことも重要です。具体的には、予約時間の遵守や診療に適した態度、そして主治医の指示に従うことが含まれます。
主治医との良好な関係は、治療の効果を高めることと治療期間の短縮に直結します。この関係を正しく維持することで、患者は最適な治療を受けられ、主治医は効率的かつ効果的な治療を提供できるのです。
体調が悪い時はイライラしたり落ち込んだりしがちですが、治療期間を短縮するために前向きに診療に向き合っていきましょう。
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