処方箋の期限が切れたときの再発行手順を紹介!保険は適用になる?

処方箋 期限切れ

病院で医師の診察を受けて、治療薬を受け取るために発効される処方箋には、実は有効期間があります。

この記事では、処方箋の期限が切れてしまったときの対応策を紹介しています。気になる保険適用の有無についても触れていますので、ぜひお役立てください。

1.処方箋の期限は発行日を含めて4

処方箋の有効期間は発行日を含めて4日間となっています。たとえば、15日に発行された処方箋は18日までしか使用できません。

ここでの注意点は、土日や祝日が関係ないということ。有効期間内に土日や祝日が含まれていても、有効期間がその分延長されることはありません。

そのため、金曜日や祝前日、連休前に処方箋を発行してもらう際は、後日薬剤を受け取ろうと思っても調剤薬局が休みで受け取れない、といった恐れがありますので注意してください。

4日間という有効期間は、短いと感じるかもしれません。しかし、薬剤はそのときの症状に合ったものを使用する必要があるため、処方箋には有効期間が設定されているという背景があります。

有効期間が長いと、症状が変化してしまい別の薬剤の方が適している、というパターンが発生してしまいます。それを防ぐために短い有効期間が設定されているわけです。

自身の症状を早く緩和させるためにも、できる限り処方箋を受け取った当日に調剤薬局に行き、期限切れになる前に薬剤を受け取ることをおすすめします。

1-1.医師にあらかじめ相談すれば、期限を延ばしてくれることも

処方箋の有効期限は4日ですが、処方箋を発行する医師の許可を得れば、期限を延ばしてもらうことが可能です。

たとえば、長期の旅行など、薬を受け取りに行けないやむをえない事情がある場合は期限の延長が認められることがあります。

しかし、期限切れしてしまった処方箋の期限の延長や、一度発行された処方箋の期限をその後延長してもらうことはできません。処方箋の期限を延長してもらいたい際は、診察の段階で医師への相談が必要です。

また、処方箋の期限を延長するかどうかは、それぞれの医師の判断に任されています。そのため、必ずしも「長期旅行があるから期限延長」とできるわけではない点には注意してください。

1-2.期限が切れた処方箋では薬はもらえず、再発行してもらうしかない

薬剤師は、処方箋に基づいて薬剤を患者に出しています。そのため、期限が切れてしまった処方箋を調剤薬局に持っていっても薬剤は出してもらえません。薬剤師が処方箋の期限を延長することや、その場で医師に電話などで相談して延長の許可をもらう交渉もできません。

つまり、期限切れの処方箋に対して、薬剤師が何か対処をすること自体ができないので、処方箋の期限が切れてしまった場合は「とりあえず調剤薬局で相談する」のではなく、「処方箋を発行してもらった病院に行き、再発行をしてもらう」ようにしましょう。

2.処方箋の期限が切れた場合の再発行・再診は自費になる

処方箋は、診察時の症状に合わせて発行されるものです。処方箋の期限が切れてしまっているということはその分時間が経過し、症状も変化している可能性が高いということ。そのため、多くの場合では処方箋の再発行(症状によっては新たな内容の処方箋を発行する)だけではなく、再診も行われます。

処方箋の期限が切れてしまったことの責任は患者にあるため、この場合の再診料・処方箋発行料に関しては、ともに保険が適用されず、全額自費(10割負担)になります。薬剤の購入については、保険が適用されます。

処方箋の再発行に費用が発生するのは、処方箋をなくしたとウソをついてたくさんの薬剤を手に入れようとするのを予防する意味合いもあります。

処方箋の期限が切れた場合の費用負担

再診料

処方箋の再発行・新規発行

薬剤代

全額自費

全額自費

保険適用

 

2-1.発行してもらった処方箋をなくしてしまった場合の再発行費用も自費

医療機関で発行してもらった処方箋を、調剤薬局に行くまでに紛失してしまった場合にも、処方箋の再発行をしてもらう必要があります。この場合の再発行も全額自費です。

診察当日などの処方箋の有効期間内に処方箋をなくし、前回の診察から処方内容を変更する必要がないと判断された場合には、再診は行われず、処方箋発行に対してのみ費用がかかります。再発行された処方箋で購入する薬剤代は保険適用されます。

処方箋をなくした場合の費用負担

再診料

処方箋の再発行・新規発行

薬剤代

再診不要の場合はなし。

※再診を行った場合は全額自費

全額自費

保険適用

参照:愛知県保健医協会「健保だより 薬剤の紛失、処方箋の紛失・期限切れの場合の再交付(2023年6月5日号)

2-2.調剤薬局で受け取った薬をなくした場合は薬剤の費用も自費になるので注意!

処方された薬剤を調剤薬局で受け取ったのち、その薬剤をなくしてしまうこともあるでしょう。そのような場合、再度薬剤をもらうためには、処方箋の再発行が必要です。受け取った薬剤をなくした場合は、処方箋の再発行だけでなく、新たに受けとる薬剤の費用も保険適用されず、全額自費になります。

また、処方箋をなくした場合と同様に、必要に応じて再診が行われた際には、再診料も全額自費です。

調剤薬局で受け取った薬をなくした場合の費用負担

再診料

処方箋の再発行・新規発行

薬剤代

再診不要の場合はなし。

※再診を行った場合は全額自費

全額自費

全額自費

調剤薬局ではなく、医療機関内の薬局(院内処方)で受け取った薬剤をなくした場合も、大きな地震や台風、その他やむを得ない場合を除いて、再処方された薬剤の費用は全額自費になります。また、必要に応じて再診が行われた際にはかかる再診料や、薬剤を出すための処方料がかかり、これらも全額自費です。

3.処方箋の有効期限を切らさないための対策

処方箋の再発行は完全自費となるため、本来では必要なかった費用負担が発生します。忙しくて薬を取りに行けず、処方箋の有効期限が切れてしまうかもしれないと心配な場合は、以下のような対策をすることをおすすめします。

3-1.まずは受診時に医師に相談

あらかじめ処方箋の有効期間内に調剤薬局に行き、薬剤を受け取るのが難しいことが分かっている場合は、受診時に医師に相談し有効期間を延長してもらえないか交渉するとよいでしょう。

ただし、有効期間を延長してもらえたとしても、その期限も切れてしまった場合には、処方箋の再発行や再診が必要になる点は変わらないので、忘れないよう、いつ受け取りに行くか決めておくようにしてください。

3-2.行きやすい場所にある調剤薬局を利用する

処方箋は全国どこの調剤薬局でも受け付けてくれます。そのため、会社の昼休憩中に行ける薬局、自宅の近くの薬局、出張先周辺の薬局など、自分にとって都合がよい場所にある薬局を利用するのもおすすめです。

3-3.家族などに代わりに受け取りに行ってもらう

実は薬剤の受け取りは、本人以外でも可能です。どうしても調剤薬局に行く時間がないときは、家族などに代わりに受け取りに行ってもらいましょう。その際には「処方箋の原本」「患者本人の保険証」が必要になります。患者本人が所有していれば「お薬手帳」も持参してください。

調剤薬局では、患者の状態を薬剤師に伝える必要や、初診であれば住所や電話番号などの個人情報も伝える必要があるので準備するようにしてください。

また、もらった薬剤については、飲む量やタイミングなどについての服薬指導を代わりに受けることになります。メモを取るなどして指導内容を正確に患者本人に伝えられるようにしましょう。

3-4.調剤薬局で処方箋の提出だけして後日取りに行く

調剤薬局で薬を受け取るのが難しい理由の1つに「薬局で薬が出てくるまで待つ時間がない」というものが挙げられます。

調剤薬局によっては、処方箋の提出だけ先にしておけば、その日のうちの時間があるときに取りに行ったり、後日取りに行ったりすることが可能なところがあります。そのようなサービスを利用することも検討してください。

ただし、処方箋の有効期間中に調剤薬局に処方箋を提出して受付を済ませたとしても、有効期間を過ぎた後日に薬剤を取りに行くことが可能かどうかは薬局によって規定が異なるため、注意してください。

参照:日本調剤「処方箋のよくあるご質問

3-5.調剤薬局での待ち時間を減らす方法も活用しよう

調剤薬局では、FAXやメール、アプリなどで処方箋の画像を受け付け、スムーズに薬剤を準備することで患者の待ち時間削減につなげるサービスを実施しているところがあります。待ち時間が長引くことに不安があるときは、このようなサービスを利用するとよいでしょう。

ただし、画像で処方箋の情報を事前に送っていても、薬剤の受け取りには処方箋の原本が必要になりますので、忘れないように持参してください。

待ち時間を減らすサービスは、薬剤をスムーズに用意するためのもので、処方箋の受付とは別の話になります。そのため、利用する際には処方箋の有効期間内に原本を持参し、薬剤を受け取らなければならない点にはご注意ください。

3-6電子処方箋を活用すると紛失の恐れなし

2023年から電子処方箋の運用が開始されています。電子処方箋とは、その名の通りこれまで紙で渡されていた処方箋を電子化したものです。処方する薬剤の情報をデータ化することで、医療機関と薬局間で共有可能になる仕組みです。

電子処方箋では、従来の紙の処方箋は発行されず、マイナポータルサイトで処方箋内容を確認します。処方箋が紙で発行されないので、紛失や再発行の手続きが不要となります。処方箋の有効期間は、マイナポータルサイトにログインすればいつでもスマートフォンで確認できます。

電子処方箋の使い方

・診察時に、電子処方箋に対応している医療機関でマイナンバーカードを使って受付をし、電子処方箋を選択します。

・薬剤を受け取るときは電子処方箋に対応している薬局で、マイナンバーカードを使用し、処方データをもとに出される薬剤を受け取ります。

電子処方箋の発行は、健康保険証でも可能です。マイナンバーカードを利用する利点は、患者の同意があれば過去に受け取ったものや現在使用中の薬剤情報を医師や薬剤師が確認できるようになることです。これにより、飲み合わせの悪い薬を処方したり、同じ効用のある薬を重複して処方したりすることが予防できます。

また、お薬手帳や患者の記憶に頼らずとも、これまでにもらった薬剤の内容を正確に医師や薬剤師に伝えられますので、かかりつけの病院や薬局以外を利用する際にもスムーズに診察や薬剤の処方がしてもらえます。

健康保険証を利用して電子処方箋を発行してもらう場合は、処方する薬剤のデータの蓄積はされますが、過去の薬剤情報を医師や薬剤師も参照できません。

健康保険証を利用して薬剤を受け取る際は、医療機関で発行される引換番号も必要になります。引換番号は、現在経過措置として紙で発行されている処方箋の控えに印字されています。

参照:厚生労働省「電子処方せん(国民向け) 

4.まとめ

医療機関で発行される処方箋には、4日間の有効期間が定められています。期限が切れてしまった場合は、再発行のための再診・処方箋発行費用はすべて患者の自費負担となります。

有効期間中に薬剤を受け取ることが難しい場合には、診察時に医師に相談して処方箋の有効期間を延ばしてもらう、調剤薬局が実施している待ち時間短縮のサービスを利用する、処方箋の受付だけを済ませて、時間があるときに薬剤を受け取りにいく、などの方法を検討してください。

今回紹介した内容が、お役に立てば幸いです。