紙とカードの保険証は何種類ある?健康保険証とマイナ保険証の違いも解説

紙とカードの保険証は何種類ある?健康保険証とマイナ保険証の違いも解説

日本国内で生活している人は、それぞれの健康保険に加入するのが一般的です。

しかし、働き方や年齢によって保険証が紙やカードに変わったり、色が違うのが気になる人もいるでしょう。

本記事では健康保険証の種類、紙とカードの保険証の違い、そしてマイナ保険証への移行に関する最新の動向まで解説していきます。
保険証について疑問がある人は参考にしてみてください。

本記事の対象者

  • 健康保険証の種類を知りたい
  • 紙の保険証とカードの保険証の違いについて知りたい
  • マイナ保険証へ切り替えるメリットデメリットを知りたい

 

1.紙?カード?健康保険証の種類

健康保険証は、大きく分けて以下の種類があります。

保険証の種類について
  1. 協会けんぽ
  2. 国民健康保険
  3. 組合保険
  4. 共済組合
  5. 後期高齢者医療保険

それぞれの健康保険証の特徴について解説していきます。

1-1.協会けんぽ

健康保険証の種類:健康保険

引用:全国健康保険協会「健康保険証(被保険者証)の交付」

協会けんぽは、主に企業の従業員とその家族を対象とした健康保険です。協会けんぽの最大の特徴は、企業の従業員とその家族が直接健康保険組合に加入することで、医療機関での自己負担率を軽減できる点です。

協会けんぽの保険証はカードタイプが多く、曲がったり破れたりする心配がありません。協会けんぽの健康保険証には所属する企業の名前が記載されているのが特徴です。

1-2.国民健康保険

健康保険証の種類:国民健康保険

引用:大田区「保険証」

国民健康保険は、自営業者やフリーランス、パートタイム労働者など、社会保険に加入していない国民を対象としています。国民健康保険は居住地の自治体が保険者となり、加入者の医療費をサポートします。

国民健康保険証は紙タイプで提供されるのが一般的です。保険証には被保険者の資格や加入している自治体の情報が記載されています。

国民健康保険証は居住する地域によって色が変わるのが特徴です。

1-3.組合保険

健康保険証の種類:組合保険

引用:日本マクドナルド健康保険組合「保険証とは」

組合保険は組合管掌健康保険という正式名称です。特定の職業や業種に所属する人が加入する健康保険で、その企業や団体が直接保険者となります。

組合保険は加入している組合によってデザインや形式が異なり、現在はカードタイプが一般的です。組合保険に加入することで医療機関での自己負担率軽減だけでなく、加入者専用の福利厚生サービスを利用できる場合があります。

全日本理美容健康保険組合では、以下のような福利厚生サービスを提供しています。

⚫︎福利厚生サービスについて

  1. スポーツクラブ優待利用サービス
  2. 各種宿泊施設の優待利用サービス
  3. 各種パッケージツアー割引サービス
  4. プレママ・子育て家庭支援事業
  5. ブライダルサポート
  6. 葬儀プラン
  7. セレモニーサポート(葬儀支援制度)

上記のように、さまざまなサービスを受けられるのが組合保険の特徴です。

1-4.共済組合

健康保険証の種類:共済保険

引用:国家公務員共済組合連合会「KKR便利帳の閲覧について(組合員専用ページ ログイン)」

共済組合は、公務員が加入する健康保険です。共済組合の保険証も、紙やカード形式で発行され、加入者の資格や発行機関の情報が記載されています。

共済組合に加入できるのは、以下の職種や団体です。

共済組合に加入できる職種・団体について
  • 国家公務員
  • 地方公務員
  • 警察
  • 自衛官
  • 学校職員
  • 共済団体員

    共済組合も組合保険同様、独自の福利厚生サービスや年金資金積立ができるのがメリットです。

    1-5.後期高齢者医療保険

    健康保険証の種類:後期高齢者医療保険者証

    引用:茨城県後期高齢者医療広域連合「保険証(被保険者証)」

    後期高齢者医療保険は、75歳以上の高齢者を対象とした健康保険です。後期高齢者医療保険は、高齢期における医療費の増加に対応するために新たに設けられ、加入者は医療サービスを受ける際の自己負担を軽減できます。

    後期高齢者医療保険の保険証は、主に紙ベースで発行されていて、年度や地域によって色が変わります。

    2.保険証は紙とカードや色に意味はない

    保険証は紙やカードタイプ、色が異なりますが、それぞれに大きな意味はありません。
    保険証で重要な情報や被保険者番号の付け方について解説していきます。

    2-1.保険証で重要な情報

    保険証に記載されている情報の中で最も重要なのは、記号と番号、保険者番号です。

    これらの番号を通じて医療機関や保険者は加入者が資格を有しているか確認し、適切な自己負担率の計算を行います。

    また、保険証には加入者の名前や住所、保険の種類や有効期限など、医療サービス利用時に必要となる情報が含まれています。同じ保険証でも加入先や地域によって色や形式が変わるため、見た目の情報はあまり重要視されていないのが現状です。

    2-2.保険証の色は保険者が決めている

    保険証の色に関しては、特に法律などの規定はありません。

    発行する保険者が色を決めるため、色によって保障内容や自己負担率は変わらないのが健康保険証の特徴です。

    色の違いは視覚的な識別をするためや、保険者ごとのブランディングの一環として設定されています。保険証の発行元や種類は正しく理解しておきましょう。

    2-3.被保険者番号で分かる保険者の種類

    被保険者番号は、保険証を持つ人がどの保険者に加入しているかを示す重要な情報です。
    被保険者番号を通じて、医療機関は保険者を正確に特定できます。

    被保険者番号は、社会保険には8桁、国民健康保険には6桁の番号が付与されます。社会保険の最初の2桁は法別番号と呼ばれ、数字でおおまかな職種を特定可能です。

    被保険者番号(最初の2桁)区分職種
    01政府管掌健康保険中小企業の従業員
    02船員保険船員
    06組合管掌健康保険大企業の従業員
    07防衛省職員給与法による自衛官等の療養の給付自衛官
    39高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付後期高齢者
    31国家公務員共済組合国家公務員
    32地方公務員等共済組合地方公務員
    33警察共済組合警察官
    34公立学校共済組合
    日本私立学校振興・共済事業団

    教職員

    参照:厚生労働省「保険者番号、公費負担者番号、公費負担医療の受給者番号並びに医療機関コード及び薬局コード設定要領」

    国民健康保険の場合は、自営業やフリーランス、または現在仕事に従事していない人だと考えられます。

    3.保険証は紙やカードで自己負担率は変わらない

    自分の持っている保険証に紙やカードなどの違いがあっても、医療機関での自己負担率は原則変わりません。
    保険証の自己負担率や計算方法、それぞれの保障内容について解説していきます。

    3-1.自己負担率は原則年齢で決まる

    日本の健康保険制度では、自己負担率は原則として加入者の年齢によって決定されます。年齢別の自己負担率は、以下のようになっています。

    医療費の一部負担(自己負担)割合について

    引用:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」

    一般的に20歳以上の成人は医療費の3割を自己負担として支払う必要がありますが、70歳以上の高齢者では自己負担率が2割に減少し、75歳1割になる場合があります。ただし、高齢者でも所得が多い人は現役と同じ3割負担になります。

    健康保険の自己負担率は、年齢だけでなく収入などによっても変動するため、自分の自己負担率を理解しておきましょう。

    3-2.社会保険と国民健康保険の計算方法は異なる

    日本には、主に社会保険と国民健康保険の2つの健康保険制度が存在します。

    会社員が加入する社会保険の場合、保険料は加入者の一定期間の収入に基づいて計算され、給与から直接差し引かれます。一方の国民健康保険は加入者の前年度の収入、世帯構成、住んでいる地域に基づいて保険料が決定され、加入者が直接自治体に支払う形式です。

    社会保険と国民健康保険は、計算方法が根本的に異なります。

    3-3.保険証の種類で保障内容は変わる

    保険証の種類によって、保障される医療サービスの内容が異なる場合があります。
    社会保険は扶養家族を被保険者にできますが、国民健康保険は一人ひとりが加入する仕組みです。

    また、社会保険の被保険者は、事故やケガで働けなくなった際に傷病手当金を受給できます。傷病手当金は、加入期間や通院などで一定の条件を満たした被保険者に給料の約2/3を支給する仕組みです。

    長く仕事をしていると病気やケガで働けなくなる期間が出てくる人もいますが、傷病手当金は療養期間中の生活を支えてくれる重要な制度です。

    さらに、被保険者が出産するために休暇を取った際は、出産手当金もあります。

    出産手当金は、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日以降56日までの範囲内で会社から給料をもらっていない人を保障してくれます。

    出産手当金も給料の約2/3を支給してくれるので、ゆっくり出産と産後の療養ができるでしょう。

    国民健康保険には、原則として傷病手当金も出産手当金もありません。
    居住する自治体によって独自の手当てがある場合は、その申請を行う必要があります。

    参照:全国健康保険協会「傷病手当金 | こんな時に健保」
    参照:全国健康保険協会「出産手当金について」

    4.紙とカードの保険証は廃止される?

    2024年2月現在、政府はマイナンバーカードと保険証を統合するマイナ保険証の導入を進めています。

    まだ正式に移行や健康保険証の廃止は決まっていませんが、導入が進められているマイナ保険証について解説していきます。

    4-1.現状マイナ保険証への移行は必須ではない

    マイナ保険証への移行は、現状では必須ではありません。しかし、政府はマイナ保険証の普及を促進しており、将来的には従来の紙やカード型の保険証に代わることが予想されます。

    すぐにマイナ保険証に移行しない人には、保険証の代わりとなる資格確認書を発行する方針です。資格確認書の有効期限は、2024年2月現在では5年と設定される見通しです。

    この資格確認書は無料で発行される予定ですが、申請からどの程度で手元に届くかは分かりません。正式に健康保険証の廃止が決まると多くの人が申請に来ると予測されています。

    4-2.マイナ保険証の問題点

    マイナ保険証の導入には、いくつかの問題点が指摘されています。
    最も大きな懸念は、個人情報の安全性です。

    マイナ保険証には保険証としての機能に加え、本来のマイナンバーカードとしての機能も含まれています。マイナンバーカードは国民一人ひとりに割り当てられている重要な個人情報なので、携帯することに抵抗を感じる人もいるでしょう。

    万が一情報漏洩などの問題が発生した場合、生活に直結する大きな問題が起きる可能性があるためです。

    また、全ての国民がマイナ保険証に適応できるわけではありません。マイナ保険証は原則として本人が申請に行く必要がありますが、寝たきりや障がいを抱えた人は自分で申請に行けないためです。

    特に高齢者にとっては、デジタルデバイスへの不慣れから移行が困難になるという問題もあります。

    4-3.マイナ保険証の使い方

    マイナ保険証の使用方法は、従来の保険証と基本的には変わりません。

    通常の保険証に加えて、デジタル化の特性を活かした便利な機能が追加されています。

    例えば、医療機関でマイナ保険証を提示すると本人確認を読み取るだけで行えるほか、特定検診や薬の情報をオンラインで確認できます。

    また、マイナ保険証はマイナンバーカードとしての機能も持っているため、行政手続きなどの本人確認でも利用できる多機能性が魅力です。利用者は、マイナポータル等のオンラインサービスを通じて、自身の保険情報の確認や更新なども手軽に行えます。

    5.マイナ保険証に変えるメリットデメリット

    マイナ保険証にはメリットデメリットがあります。

    それぞれのメリットデメリットを理解して、マイナ保険証への移行を検討してみてください。

    5-1.マイナ保険証のメリット

    マイナ保険証には、医療機関での手続きを効率化してくれるメリットがあります。

    これまでの保険証は、医療事務のスタッフが保険情報を入力していました。
    マイナ保険証になるとオンラインでの本人確認が可能になるため、保険資格の確認作業が短縮され、待ち時間が減少します。

    また、確定申告で医療費控除する際もメリットがあります。

    これまで医療費控除を受けるためには、医療費を計算する必要がありました。マイナ保険証に移行するとマイナポータルで取得する医療費通知情報のデータを確定申告書等作成コーナーに自動転記可能です。

    確定申告の手間を大幅に削減できるので、医療費控除を毎年受けている人は大きな恩恵を受けられるでしょう。

    参照:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」

    5-2.マイナ保険証のデメリット

    一方で、マイナ保険証にはいくつかのデメリットもあります。

    先述の通り、個人情報のセキュリティに関する懸念が最も大きなデメリットです。保険情報や住所などの個人情報を一つのカードに集約することで、万が一紛失してしまった場合に受ける影響が大きくなります。

    また、2024年2月現在では、マイナ保険証は全ての医療機関で使用できるわけではありません。マイナ保険証を使うためには、マイナンバーカードを読み取るためのオンライン資格確認システムが必要なためです。

    オンライン資格認証システムを導入していない医療機関では、通常の保険証と同じ使い方しかできないのでデメリットといえます。マイナ保険証の普及にはまだ時間が必要なので、従来の保険証との併用期間が必要になるでしょう。

    6.まとめ

    健康保険証には協会けんぽや国民健康保険など複数の種類が存在し、それぞれ紙やカード形式で提供されています。
    保険証の色や形状は保険者や地域によって異なるため、色や形状よりも被保険者番号などの情報が重要です。

    医療費の自己負担率は原則年齢で決まり、社会保険と国民健康保険では保険料の計算方法が異なります。また、社会保険で受けられる保障が国民健康保険では受けられないなどの違いもあります。

    マイナ保険証への移行は現状必須ではないものの、効率的な医療手続きやオンラインサービス利用などのメリットが受けられる新しい保険証です。日本では保険証の仕組みを変革している途中ですが、メリットデメリットや保障を理解して、使用する保険証や働き方を検討してみてください。

    コメント