保険証を忘れた場合の対応ガイド|病院での対応から返金方法まで解説

保険証を忘れた場合の対応ガイド|病院での対応から返金方法まで解説

病院に行った際に保険証を忘れてしまった経験はありませんか?
体調が悪くて病院に行った際に、保険証を忘れてしまってはどう対応したらいいか困ってしまうでしょう。

本記事では、保険証を忘れてしまった場合の病院での対応から、療養費を全額自己負担した際の返金方法まで解説していきます。
病院に保険証を忘れて療養費が全額自己負担になっても、本記事を参考にして返金申請をしてみてください。

1.保険証を忘れると大変?健康保険の仕組み

1.保険証を忘れると大変?健康保険の仕組み

保険証は、病院での療養費を計算する際に重要です。
保険証を提示することで、患者が受けた医療サービスの自己負担率を管理し、適切な会計ができるためです。

まずは保険証の仕組みや患者の自己負担率、全額負担について解説していきます。

1-1.病院で保険証が必要になる時

病院で保険証が必要になるのは、以下の場合です。

  1. 初めてその病院を受診する場合
  2. 月初めの再診の場合

病院では、患者が保険に加入していることを確認する必要があるので、上記の場合に保険証の提示を求められます。この保険証に基づき、患者の自己負担額が計算され、保険適用の範囲内で療養費が割り引かれます。

この保険証がないと、患者は保険に加入していることを証明できないので、療養費が高額になると覚えておきましょう。

1-2.患者の自己負担率

自己負担率は患者ごとに異なります。厚生労働省では、年齢別の自己負担率を以下のように区分しています。

引用:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」

未就学児や所得の低い高齢者は、より少ない自己負担で済むのが特徴です。最大でも患者の自己負担率は3割に設定されているので、日本では健康保険に加入している人が安心して医療を受けられる環境が整備されています。

保険証を提示することで上記のような自己負担率が分かるので、患者に正確な自己負担額を請求できます。

1-3.療養費が全額自己負担になる場合

以下のように、療養費が全額自己負担になる場合があります。

  1. 保険証を忘れた
  2. 保険適応外の治療を受けた

保険証を忘れた場合、患者は会計時に療養費を全額自己負担します。
後日、保険適用分の返金申請を行うことで、適切な会計が可能です。

⚫︎保険対応外の治療について

また、病院で受ける医療行為の中には、以下のように保険適応外の治療があります。

  1. 入院時の食事代
  2. 差額ベッド代
  3. 予防接種
  4. 美容整形手術
  5. 健康診断
  6. 出産

政府の社会保障費には限りがあるので、全ての医療サービスを健康保険でまかなうのは難しいのが現状です。

1-4.全額自己負担した療養費は返金される?

保険証を忘れた場合でも、後日窓口に保険証を提出することで療養費は返金されます。

返金の手順は病院や加入している保険によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

また、全額自己負担した療養費の返金を受けるためには、会計時の明細書や領収書が必要です。
返金を受けるまで、大切に保管しましょう。

2.保険証を忘れた場合の対応

保険証を忘れたり紛失したりした場合は、病院の窓口で適切な対応が必要です。
自宅に保険証を忘れた場合や、紛失した場合の具体的な対処法について詳しく説明します。

2-1.自宅に忘れた場合

自宅に保険証を忘れた場合、病院の窓口で「保険証を忘れてしまった」と伝えることが大切です。

風邪の症状で病院を訪れたが保険証を自宅に忘れた場合、受付でこの事情を説明して、後日保険証を持参することを約束します。

多くの病院では一時的に療養費が全額自己負担となりますが、後日保険証を提出することで、適切な負担額に調整されます。

保険証の提出期限や返金に必要な手続きについて、病院からの指示を正確に理解し、対応することが重要です。

2-2.紛失した場合

保険証を紛失した場合は、すぐに再発行の手続きを行うことが必要です。

まずは病院に紛失の事実を伝え、療養費を全額負担で支払います。
同時に、保険証の再発行を行うための手続きが必要です。

新しい保険証が届くまでの間、病院を受診すると療養費の全額自己負担を求められます。
病院に新しい保険証を提出することで、過払い分の返金を受けることが可能です。

3.保険の切り替えで保険証がない時の対応

3.保険の切り替えで保険証がない時の対応

会社を退職したり転職したりした場合、保険証の切り替えが必要です。
具体的には、新しい職場での健康保険加入や健康保険の任意継続、国民健康保険への加入や家族の扶養に入ることです。

それぞれの保険の切り替え方法について解説していきます。

3-1.転職先で健康保険に加入する

転職に伴い新たに健康保険に加入する際、新しい職場の健康保険組合から保険証が発行されます。例えば、A社を退職しB社に転職する場合、先に保険証をA社に返却し、B社の健康保険組合への加入手続きを行います。

転職によって会社が変わる場合の手続きは会社が代行してくれます。この期間中に病院を利用する場合、手元に保険証がないため療養費は全額自己負担になるので注意しましょう。

3-2.健康保険の任意継続の手続きをする

転職により一時的に失業状態になる場合、健康保険の任意継続制度を利用することも可能です。例えば、A社を退職して次の職場が決まるまでの期間、A社の健康保険証を引き続き使用できます。

健康保険の任意継続制度の手続きは退職から20日以内という期限が設けられているので、失業後すぐに関連手続きを行う必要があります。

全国健康保険協会のホームページから「任意継続被保険者資格取得申出書」をダウンロードし、必要事項を記入してお住まいの住所地を管轄する協会けんぽ支部に提出しましょう。

任意継続の手続きを怠ると、病院を受診した際に保険適用外となり、療養費が全額自己負担になるため、注意が必要です。

参照:全国健康保険協会

3-3.国民健康保険に加入する

企業を退職して自営業やフリーランスとして働く場合などは、国民健康保険への加入が必要です。
国民健康保険へ切り替える場合、新しい保険証が手元に届くまでの間、療養費は全額自己負担となることが一般的です。

自営業やフリーランスとして独立する際には、速やかにお住まいの自治体で国民健康保険への加入手続きを行い、新しい保険証を取得しましょう。

国民健康保険への切り替え手続きが遅れると、病院を受診する際に高額な費用が発生するリスクがあります。

3-4.扶養に入れてもらう

扶養家族として家族の健康保険証を使用することも一つの選択肢です。例えば、配偶者の扶養に入ることによって、その配偶者の職場の健康保険証を利用することが可能です。

しかし、扶養に入る手続きが完了するまでの間、療養費は全額自己負担となるため、会社の担当者に速やかに手続きを依頼しましょう。手続き完了後は、配偶者の保険証を使用して、適切な自己負担率で医療サービスを受けられます。

扶養に入ることは、パートタイムやアルバイトなど非常勤の職に就く場合に有効です。

4.保険証を忘れて返金を受ける際の注意点

4.保険証を忘れて返金を受ける際の注意点

病院で保険証を忘れた場合、後日返金を受けるためにいくつかの注意点があります。

病院に保険証を提出するタイミングと病院で返金対応していない場合について、それぞれ解説していきます。

4-1.いつまでに病院に保険証を持っていけばいい?

返金を受けるためには、診療を受けた同月内に病院に保険証を提出することが重要です。

月をまたいでしまうと、病院側が患者のレセプト(診療報酬明細書)を修正する際に、複雑な手続きをしなくてはいけないためです。

例えば、5月31日に病院を訪れたが保険証を忘れた場合、返金を受けるためには当日中に病院に保険証を提出する必要があります。
病院の会計システムは、月単位で運営されることが多いためです。

同月内に保険証を提出できないと、返金が遅延するだけでなく、場合によっては返金が不可能になるリスクもあります。
保険証を忘れたことに気づいたら、可能な限り速やかに病院に保険証を提出しましょう。

4-2.病院では返金に対応していない場合がある

全ての病院が、全額負担の返金に対応しているわけではありません。
返金を受けるためには、まず病院に返金の可否を確認することが大切です。

病院が返金に対応していない場合、自治体や保険組合に自分で申請しなくてはいけません。
返金申請には、領収書の原本と医療費明細書または診療報酬明細書の提出が必要です。

病院の窓口でできるだけ返金申請の方法を教わり、なるべく早めに手続きをしましょう。

5.療養費支給申請書の書き方

5.療養費支給申請書の書き方

自分で全額自己負担の返金申請を行う場合、「療養費支給申請書」を記入します。

記入ミスをすると返金までの時間がかかったり手間が発生したりしてしまうので、丁寧に解説していきます。

5-1.療養費支給申請書のチェックフロー

療養費支給申請書を作成する際は、最初に必要な書類を確認し、療養費支給申請書に必要事項を正確に記入していきます。

以下の療養費支給申請書のチェックフローを参考にして、必要書類を用意しましょう。

引用:全国健康保険協会「療養費支給申請書」

例えば、風邪で病院を訪れた患者が保険証を忘れた場合、療養費支給申請書の他に病院から受け取った診療明細書や領収書の情報が必要です。療養費支給申請書の作成にあたっては、上記の書類を正確に整理し、正確に情報を記載する必要があります。

5-2.療養費支給申請書に記入時の注意点

療養費支給申請書を記入する際には、個人情報を正確に記載する必要があります。

返金対象となる患者の名前や住所、生年月日や保険番号などの情報が正確でないと、申請が遅れたり却下されたりする可能性があるためです。

また、療養費の詳細や治療内容の記載も非常に重要です。

例えば、特定の治療を受けた日付や治療内容、そのために支払った費用の詳細などは返金の計算に直接関わります。誤った情報は返金申請の遅延や却下の原因となるため、細心の注意を払って療養費支給申請書に記載しましょう。

5-3.療養費支給申請書に記入する内容

療養費支給申請書に記入する内容は、以下の通りです。

  1. 被保険者証の記号と番号
  2. 氏名と捺印
  3. 生年月日
  4. 住所
  5. 振込先

療養費支給申請書には被保険者のマイナンバーの記入欄もありますが、被保険者証の記号と番号を記載すれば記入は扶養です。
マイナンバーは大切な個人情報なので、記入しないように注意しましょう。

療養費支給申請書に記載する情報は、添付する診療明細書や領収書の情報と一致している必要があります。

正確な情報を記載することで、最短で返金を受け取れます。

6.保険証を忘れた場合によくある質問

病院に行く際に保険証を忘れた場合、患者は多くの疑問や質問を抱きます。
保険証を忘れた場合によくある質問をまとめたので、保険証で困ったことや疑問がある人は参考にしてみてください。

6-1.保険証を忘れた場合の返金対応期限はいつまでですか?

保険証を忘れた場合の返金対応期限は、病院によって異なるので問い合わせが必要です。
一般的には診療日と同月内までと設定されています。

例えば、5月1日に診療を受けた場合、病院によっては5月末日までが返金対応の期限とされています。

この期限を過ぎてしまうと、自分で療養費支給申請書を記入して返金手続きをしなくてはいけません。

病院によっては、そもそも全額負担の返金に対応していない場合もあるので、受診する際に確認しておきましょう。

6-2.保険証を忘れた場合、スマートフォンで撮影した写真や画像は有効ですか?

保険証の写真や画像は、原則として証明書として有効ではありません。

病院で保険証の提示が必要な場合、実際の保険証を提出する必要があります。

例えば、携帯電話で撮影した保険証の画像を提示した場合、多くの病院では実物の保険証の提出を再度求めます。これは、保険証の画像では偽造や改ざんが懸念されるため、実物の保険証による確認が必要とされているためです。

保険証を忘れた場合は、全額自己負担した後に保険証を提出し、返金を受ける手続きが必要です。

6-3.保険証を忘れた場合マイナンバーカードは代わりになりますか?

マイナンバーカードは、原則として保険証の代替としては使用できません。
しかし、マイナンバーカードの健康保険証利用を申請することでマイナンバーカードを保険証として利用可能です。

マイナンバーカードの健康保険証利用を申請するためには、以下の方法があります。

  1. パソコンで申請
  2. スマートフォンで申請
  3. セブン銀行で申請

ただし、マイナンバーカードの健康保険証利用は全ての医療機関や薬局が対応しているわけではありません。対応しているか確認するためには、窓口に問い合わせるかマイナ受付に対応しているポスターを貼っていることを確認する必要があります。

マイナンバーカードの健康保険証利用については、厚生労働省のホームページを参照してみてください。

参照:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」

6-4.返金を受ける場合に領収書を無くしたらどうなりますか?

病院の領収書を紛失した場合、基本的に全額負担の返金はできなくなります。
領収書は保険証と同様に大切に保管し、返金申請時に必ず提出しましょう。

病院で治療を受けた際に発行された領収書は、その治療にかかった費用や支払いの証明として使用されるので、返金の手続きにおいて重要です。領収書を紛失した場合、病院は治療に関する正確な証明ができなくなり、返金を断る可能性があります。

自分で療養費支給申請書を提出する際にも領収書が必要になるので、病院の領収書は適切に保管しましょう。

一部の医療機関では領収書の再発行が可能な場合もありますが、追加の手数料がかかったり、そもそも再発行ができなかったりする場合もあるため、現実的ではありません。

7.まとめ

病院に保険証を忘れた場合は、一度全額自己負担してから後日保険証を提示して返金を受けます。

病院によっては全額負担の返金対応に応じていない可能性があるので、受診時に確認しておきましょう。

病院で返金を受けるためには、同月内に保険証を提示することが重要です。

月をまたいでしまうとレセプトの都合で返金処理が複雑になってしまい、対応してもらえなくなる可能性もあります。

自分で返金申請する場合は、療養費支給申請書に必要事項を記入し、領収書などと一緒に管轄内の協会けんぽ支部に郵送します。

保険証を忘れると時間と労力を要してしまうので、病院に行く場合は保険証を持ったか確認してから出発しましょう。

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