人間ドックのオプションでおすすめは?年代・性別ごとに紹介

人間ドック オプション おすすめ

近年、健康寿命を延ばすための国の取り組みや啓発活動の影響で、予防医療への関心が高まり続けています。その中でも、人間ドックの受診率は年々上昇傾向にあります。

人間ドックは一般的な健康診断よりも多岐にわたる検査を行うため、体の健康状態を詳細に把握することが可能です。しかし、検査項目を増やすごとに費用も増加するため、特にオプション検査の選択に悩む人が多いのが現状です。

そこで本記事では、性別や年代ごとに特に推奨されるオプション検査について詳しく紹介します。

1.健康診断と人間ドックの違い

健康診断は、乳幼児から児童生徒、妊婦、労働者を対象に行われる定期健康診断や40歳以上に実施される特定健診など、国の法律に基づき事業者や自治体が実施することを義務付けられた任意健診のことを指します。

それに対し、人間ドックは個人が任意で受診する任意健診になります。また、この2つは実施の目的が異なっており、健康診断は、日常的な健康状態を把握し、生活習慣病の予防や早期発見に役立てることです。

一方、人間ドックは、より広範囲の検査を行うため、健康診断では見つかりにくい疾患の早期発見につながります。主に個人が任意で受ける検査であり、健康状態を詳しくチェックすることが目的です。

健康診断は基本的な検査のみを含むため、費用は比較的低額です。一方、人間ドックは詳細な検査を行うため、費用は高額になります。

ここでは人間ドックとの具体的な違いが分かりやすいように、健康診断の1つである定期健康診断と人間ドックの比較を表にしました。

人間ドック

定期健康診断

目的

健康診断では見つかりにくい疾患の早期発見・早期治療

従業員の日常的な健康状態を把握し、疾患の予防や早期発見

法的義務

なし

あり(労働安全衛生法で年1回の受診が義務付けられている)

費用

全額自己負担(一部、補助金制度を利用できる場合あり)

基本無料(会社負担)
※一部オプションで自己負担あり

検査内容

血液検査、尿検査、身体測定、視力検査、聴力検査、胸部X線検査など一般的な健康診断の内容を含む
+眼底・眼圧検査、便潜血検査、腹部超音波検査呼吸機能、上部消化管X線など
+オプション検査40100項目

血液検査、尿検査、身体測定、視力検査、聴力検査、胸部X線検査など10~15項目程度

検査の自由度

高い(オプション検査を追加できる)

低い

2.人間ドックのオプション検査とは?

オプション検査は、基本的な人間ドックの検査項目に加えて、特定の部位や疾患をより詳しく調べるための追加検査です。一般的な検査では見逃されがちな異常や疾患の早期発見につながります。

オプション検査は、年齢や性別、生活習慣、家族歴、自覚症状などによって選ぶべきものが異なります。しかし、オプションの検査項目を追加すると費用も増えるため、選択に悩む人が多いのが現状です。

人間ドックは、生活習慣病の増加や健康寿命を延ばすために国が重点を置いている予防医療に該当するため、基本的に費用は全額負担になりますが、自治体や加入している健康保険組合などで人間ドックやオプション検査に対しての補助金や助成金が受けれる場合もあります。

3.年代、性別ごとのおすすめのオプション検査

必要性の高いオプション検査は、年代や性別、生活環境など様々な要因で変わります。疾患の早期発見のために、自身に合ったオプションを選択し、精度の高い検査結果を得ることが重要です。ここでは、年代・性別ごとのおすすめのオプション検査を30代~60代の男女に分けて詳しく紹介します。

30代の男性におすすめのオプション検査

30代の男性におすすめのオプションは、胃や大腸、脳、心臓の検査になります。

胃がんや大腸がんは死因の上位に入り、30代から増加基調が始まります。中でも、スキルス胃がんは、20~30代で発症しやすいとされています。また、食生活の欧米化の影響で若年層でも大腸がん発症のリスクが高まっています。早期がんは、発見することができれば約9割以上治癒する可能性があるため、早期発見による早期治療が重要です。

食事や睡眠、飲酒、喫煙などの生活習慣の乱れを自覚している方は、血液検査や脳血管疾患、心疾患に関連する検査を受けることも大切です。血液検査では、生活習慣病の指標となるコレステロールや血糖値などが基準値から外れている場合、動脈硬化が進行している可能性があり、脳卒中や心筋梗塞などを発症しやすくなるため注意が必要です。

自覚症状がなく進行し、結果的に重篤な状態に陥る可能性のある疾患が隠れていることもありますので、しっかりと早期発見に努めましょう。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

・胃部内視鏡検査(胃カメラ)
・胃がんリスク検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査)
・胃レントゲン検査(胃バリウム)

大腸

・大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

・脳ドック
・頭部MRI/MRA検査
・頸動脈超音波検査(エコー検査)

心臓

・心臓ドック
・心臓MRI検査
・心臓超音波検査(エコー検査)

出典:厚生労働省健康局がん・疾病対策課「平成30年 全国がん登録罹患数・率報告」
出典:公益財団法人日本対がん協会「よくわかる!がんの授業 指導の手引き」

30代の女性におすすめのオプション検査

30代の女性は、仕事や家庭生活の両立により忙しい日々を送りがちで、ストレスや不規則な生活習慣が健康に影響を及ぼしやすい時期です。また、乳がんや子宮頸がんなどのリスクも高まり始めるため、定期的な健康診断が重要です。

乳がん検査としては、マンモグラフィと乳腺超音波検査(エコー検査)が有効です。マンモグラフィは乳がんの早期発見に役立ちますが、30代の女性は高密度乳腺が多いため、マンモグラフィだけでは検出が難しい場合があります。そこで乳腺超音波検査(エコー検査)が補助的に用いられています。高密度乳腺を持つ若い女性でも、超音波検査によりマンモグラフィで見逃されがちな異常を発見できます。

子宮頸がん検査では、HPV検査と子宮頸部細胞診が推奨されます。子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となることが多いとされ、これは性交渉によって感染します。HPV検査ではHPVの感染の有無を確認し、特に性交渉経験のある女性は早いうちから定期的に受けることが重要です。子宮頸部細胞診は子宮頸部の細胞を採取し、がん細胞の有無を調べる検査で、定期的な受診が推奨されます。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

乳房

・マンモグラフィ
・乳腺超音波検査(エコー検査)

子宮と周辺部位

・HPV検査
・子宮頸部細胞診
・経腟超音波検査(エコー検査)

40代の男性におすすめのオプション検査

40代の男性は、生活習慣病やがんのリスクが徐々に高まる時期です。特に日本人男性に多い胃がんは主要な死因の1つであり、そのリスク因子としてピロリ菌感染が挙げられます。ピロリ菌を除菌することで胃がんのリスクを低減させることが可能です。

また、仕事のストレスや運動不足、不規則な食生活が健康に大きく影響し、心臓病やメタボリックシンドロームの発症リスクも増加します。心臓超音波検査(エコー検査)は、心臓の構造や機能をリアルタイムで確認できるため、早期の異常発見に役立ちます。また、運動負荷試験は、心臓の働きをチェックし、狭心症や心筋梗塞のリスクを評価します。定期的な血圧測定や血液検査も、心臓病やメタボリックシンドロームの予防に欠かせません。

大腸がんのリスクも40代から高まります。大腸がんの早期発見には、便潜血検査と内視鏡検査が有効です。便潜血検査は、簡便で非侵襲的な検査法であり、異常が見つかれば内視鏡検査を行います。内視鏡検査ではポリープなどの前癌病変を直接確認・除去することができます。一般的に、肝臓がんや膵臓がんなどを含む多くのがんは40代からリスクの上昇度が大きくなるため、定期検診で早期発見を目指しましょう。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

・胃部内視鏡検査(胃カメラ検査)
・胃がんリスク検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査)

大腸

・大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

・喀痰検査
・胸部CT検査

膵臓・肝臓など

・腹部超音波検査(エコー検査)
・上腹部MRI検査
・上腹部CT検査

・脳ドック
・頭部MRI/MRA検査
・頸動脈超音波検査(エコー検査)

心臓

・心臓ドック
・心臓MRI検査
・心臓超音波検査(エコー検査)

その他全身がんスクリーニング検査

・PET検査

出典:がん研究振興財団「がんの統計 2023」
出典:国立がん研究センター中央病院「大腸がんとは」

40代の女性におすすめのオプション検査

乳がんは40代半ばから50代前半にかけてリスクが大きく高まります。マンモグラフィは乳房の石灰化を発見するのに有効であり、乳腺超音波検査(エコー検査)はマンモグラフィでは見つけにくいがんを検出することができます。これらを組み合わせて検査を受けることで、早期発見の精度が向上します。

子宮がん検査としては、子宮頸がんと子宮体がんの両方を検査することが重要です。定期的な子宮頸部細胞診とHPV検査を受けることで、がんのリスクをより正確に把握できます。また、子宮体がんのリスクも40代から増加するため、必要に応じて子宮内膜生検などの検査もお勧めです。

さらに、男性と同じく胃がんや大腸がんのリスクも40代から大きく増加します。胃がんの早期発見には胃内視鏡検査(胃カメラ)が、大腸がんの早期発見には大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が有効です。

閉経が近づくと骨密度が急激に低下することがあるため、定期的な骨密度検査を受けることも検討しましょう。さらに、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まりつつあるため、頸動脈超音波検査で動脈硬化の状態を確認し、心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立てることが大切です。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

乳房

・マンモグラフィ
・乳腺超音波検査(エコー検査)
・DWIBS(ドゥイブス)など

子宮と周辺部位

・HPV検査
・子宮頸部細胞診
・経腟超音波検査(エコー検査)
・子宮体がん検査

・胃部内視鏡検査(胃カメラ検査)
・胃がんリスク検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査)

・頸動脈超音波検査(エコー検査)

大腸

・大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

・骨密度検査

その他全身がんスクリーニング検査

・PET検査

出典:横浜医療センター「乳がん」

50代の男性におすすめのオプション検査

50代になると全身のさまざまな部位のがんのリスクが高まります。前立腺がんの早期発見にはPSA検査が有効で、年1回の検査が推奨されています。膵臓がんのリスク評価には、腹部超音波(エコー)検査や上腹部CT検査が有効です。

胃がんや大腸がんのリスクも50代からさらに増加するため、定期的な胃内視鏡(胃カメラ)検査や大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を受けることが重要です。

心筋梗塞や冠動脈疾患、脳卒中のリスクも高まるため、心臓や脳の状態を詳しくチェックすることが必要です。心臓超音波検査(エコー)、心電図検査、運動負荷試験などで心臓の健康状態を評価し、早期に予防を開始しましょう。脳に関しては頭部MRI/MRA検査などを受けることで、脳の血管状態を詳細に確認し、脳卒中のリスクを把握できます。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

・胃部内視鏡検査(胃カメラ検査)
・胃がんリスク検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査)
・胃がんリスク検査(ABC検査)

大腸

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

・喀痰検査
・胸部CT検査

肝臓・膵臓

腹部超音波検査(エコー検査)
・上腹部CT検査
・上腹部MRI検査

・頭部MRI/MRA検査
・頸動脈超音波検査(エコー検査)

心臓

・心臓超音波検査(エコー検査)
・心電図検査
・運動負荷試験

前立腺

・PSA検査

その他全身がんスクリーニング検査

・PET検査

出典:大阪医療センター「前立腺がん(泌尿器科)」

50代の女性におすすめのオプション検査

更年期に差しかかることによるホルモンバランスの大きな変化が、健康に影響をおよぼします。

乳がんの発症リスクは50代にピークを迎えるため、マンモグラフィと乳腺超音波検査(エコー検査)を組み合わせて早期発見を目指すことが大切です。子宮頸がんは依然として発症リスクが高いため、定期的な子宮頸部細胞診とHPV検査を受けることが重要です。

骨粗しょう症のリスクが増加するため、骨密度検査を受けて骨の健康状態を把握し、予防策を講じましょう。特に閉経後はエストロゲンの減少により骨密度が低下するため、定期的な検査とカルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動が推奨されます。

更年期後はエストロゲンの減少の影響で動脈硬化のリスクが高まります。心臓と血管の状態を詳しくチェックするために、心臓超音波検査(エコー検査)や頸動脈超音波検査(エコー検査)を受けることが重要です。胃がんや大腸がん、肺がんのリスクも高いため、定期的な胃内視鏡(胃カメラ)検査や大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を受けることが推奨されます。

おすすめの検査メニュー

査部位

検査メニュー

乳房

・マンモグラフィ
・乳腺超音波検査(エコー検査)
・DWIBS(ドゥイブス)など

子宮と周辺部位

・HPV検査
・子宮頸がん検査
・子宮頸部細胞診
・経腟超音波検査(エコー検査)
子宮体部細胞診

・胃部内視鏡検査(胃カメラ検査)
胃がんリスク検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査)

大腸

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

・喀痰検査
・胸部CT検査

・頸動脈超音波検査(エコー検査)

心臓

心臓超音波検査(エコー検査)

・骨密度検査
その他全身がんスクリーニング検査・PET検査

出典:横浜医療センター「乳がん」
出典:国立がん研究センター東病院「子宮体がんの治療について」
出典:労働者健康安全機構「40歳~60歳代働く女性の健康のために」

60代の男性におすすめのオプション検査

60代の男性は、がんや心疾患、脳血管疾患のリスクがピークに達する時期です。特に生活習慣病の影響が顕著に現れるため、早期発見と早期治療が健康維持に不可欠です。消化器系がん、肺がん、前立腺がん、心疾患などのリスクが高まるため、全身の健康チェックが必要です。

まず、胃がんや大腸がんのリスクが高まるため、胃内視鏡(胃カメラ)検査や大腸内視鏡(大腸カメラ)検査が推奨されます。さらに、肝臓や膵臓がんの早期発見には、腹部超音波(エコー)検査、上腹部CT検査、上腹部MRI検査が有効です。膵臓がんは進行が早いため、定期的な検査が重要です。

心筋梗塞や冠動脈疾患のリスクが高まるため、心臓超音波検査(心エコー検査)や頸動脈超音波検査で心臓の状態を詳しくチェックすることが必要です。また、脳卒中や脳動脈瘤のリスク評価を行うため、脳ドックや頭部MRI/MRA検査も重要です。

肺がんのリスクも高まるため、胸部CT検査で早期発見を目指しましょう。特に喫煙歴がある場合は、定期的な検査が不可欠です。前立腺がんのリスクも依然として高いため、PSA検査での早期発見が重要です。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

胃部内視鏡検査(胃カメラ検査)
・胃がんリスク検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査)
・胃がんリスク検査(ABC検査)

大腸

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

・喀痰検査
・胸部CT検査

肝臓・膵臓

・腹部超音波検査(エコー検査)
・上腹部CT検査
・上腹部MRI検査

心臓

・心臓超音波検査(エコー検査)
・心電図検査
・運動負荷試験

・頭部MRI/MRA検査
・頸動脈超音波検査(エコー検査)

前立腺

・PSA検査

その他全身がんスクリーニング検査

・PET検査

60代の女性におすすめのオプション検査

60代の女性は、更年期後のホルモンバランスの変化により、がんや心疾患、骨粗しょう症などのリスクが高まります。特に乳がん、子宮がん、卵巣がんのリスクが増加するため、定期的な検査が重要です。

乳がんの早期発見には、マンモグラフィと乳腺超音波検査(エコー検査)を組み合わせることが推奨されます。子宮頸がんと子宮体がんのリスクも高いため、HPV検査を併用した毎年の子宮頸部細胞診と経腟超音波検査が有効です。

骨粗しょう症のリスク増加に対しては、骨密度検査を受けて骨の健康状態を把握し、予防策を講じることが必要です。また、動脈硬化のリスクも高まるため、心エコー検査や頸動脈超音波検査で心臓と血管の状態をチェックしましょう。

消化器系がんのリスクにも注意が必要で、胃内視鏡(胃カメラ)検査や大腸内視鏡(大腸カメラ)検査が推奨されます。さらに、肺がんのリスクが高まるため、胸部CT検査で早期発見を目指すことが大切です。

おすすめの検査メニュー

検査部位

検査メニュー

乳房

・マンモグラフィ
・乳腺超音波検査(エコー検査)

子宮と周辺部位

・子宮頸がん検査
・子宮体がん検査

・胃部内視鏡検査(胃カメラ検査)

大腸

・大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

胸部CT検査

心臓

・心臓超音波検査(エコー検査)
・心電図検査
・運動負荷試験

骨密度検査

その他全身がんスクリーニング検査

・PET検査

4.まとめ

本記事では、年代・性別ごとにおすすめの人間ドックのオプション検査を解説しました。

年代に応じて健康リスクの種類が異なるため、自身が受けるべき人間ドックのオプション検査を理解することが大切です。

胃がんや大腸がん、肺がん、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気は、オプション検査によって早期発見を目指すことが可能です。

今回、解説した内容を参考に、人間ドックのオプション検査を活用していきましょう。

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