一度診療科目を選択すると、他の診療科目には中々変更することはできません。
多くの医学生は、自分は医師に適性のある性格か、どんな診療科目と相性がいいのか真剣に悩んでいます。
本記事では、医師としての働き方に悩んでいる医学生に向けて、医師に適性のある性格と診療科目との相性を中心に解説していきます。また、HSPの人が医師として働くためのコツも紹介していくので、最後まで読み進めてみてください。
1.医師に適性がある人の性格や特徴
医師に適性のある人の性格や特徴について紹介していきます。
自分に該当する項目がある医学生は、その性格や特徴をより磨いていくことで医師として勤務する際に役立つでしょう。
1-1.コミュニケーション能力がある人
医師として成功するためには、コミュニケーション能力が不可欠です。患者や同僚との良好な関係を築くためには、会話だけでなく、身ぶりや表情なども含めた対応が求められるためです。
医師が患者との信頼関係を築くためには、患者の言葉だけでなく、その背景にある感情や家庭の事情などを理解する必要があります。相手の意図を理解して適切な対応をすることで、患者の診療やチームでの業務遂行が円滑に進められます。
1-2.思いやりがある人
医師として大切なのは、患者に対する思いやりと共感です。
患者の立場に立って感情や痛みを理解し、適切な対応ができる医師は、多くの患者から信頼されるためです。
また、患者とその家族の感情や悩みに応えることで、治療の成果を高めるだけでなく患者の満足度を向上させます。患者としては優しい医師に診療をお願いしたいと考えるので、思いやりのある人は医師の適性があります。
1-3.メンタルが強い人
医師には、緊急事態や高ストレスな状況下でも冷静さを保ち、迅速かつ正確な判断を下す能力が必要です。そのためには、感情のコントロールだけでなく、ストレス管理能力が不可欠です。
医師は、予期せぬ緊急事態や複雑な症例に直面した際も慌てず、適切な医療行為を遂行しなくてはいけません。状況を問わずに安定した精神と判断力は、医師にとって重要な資質です。
また、失敗や困難に直面した際にもポジティブな姿勢で成長できる人は、長期的な医師としてのキャリアを支える資質があります。
1-4.集中力がある人
医療現場では、治療計画の策定や手術など、高度な集中力が求められます。細かい症状や検査結果から正確な診断を導き出すためには、注意深さと集中力が不可欠です。
また、長時間にわたる手術や複雑な医療行為を行う際には、集中力を持続させることが重要です。
集中力がある人は、長時間の業務でも優れたパフォーマンスを発揮し、医療ミスのリスクを最小限に抑制できます。
1-5.理想が明確な人
医師としてのキャリア形成には、長期間にわたる厳しい学習と研修が必要です。
明確な目標と理想を持つことで困難な時期を乗り越え、医師としての成功への道を切り開けます。
自分がなぜ医師になりたいのか、どのような医師になりたいのかという強い意志と目標があれば、学習や研修の過程で直面する挑戦や困難を乗り越える原動力となります。また、目標に向かって着実に進むための計画を立てて実行に移せる人は、医師としての専門性を高め、質の高い医療を提供できるでしょう。
1-6.体力がある人
医師は、長時間にわたる勤務や当直、緊急時の対応を要求されることが多々あります。そのため、医師として勤務するためには、長時間勤務に耐えられる体力が必要です。
特に手術を行う外科医などは、数時間にわたって立ち仕事をするので、体力の維持は不可欠です。また、肉体だけでなく精神的な疲労にも耐える必要があるため、良好な健康状態と体力の維持は、医師としてのパフォーマンスに欠かせません。
当直の1日スケジュールは以下の記事にて解説しております。合わせてご覧ください。
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2.医師に向いていない人の性格や特徴
医師に向いていないのでは？と悩んでいる医学生のために、医師に向いていない人の性格や特徴を紹介します。
以下で紹介する項目に該当する医学生は、早期に改善に取り組むことで医師として活躍できます。
2-1.丁寧な仕事ができない人
医師の仕事には、非常に細かい注意と迅速な判断が求められます。
診断や治療計画の策定において、細部にわたる情報を見逃すことは、誤診や重大な医療ミスにつながる可能性があるためです。
例えば、症状の微妙な変化を見逃したり患者の医療記録を正確に管理できなかったりした場合、患者の安全と治療の効果を損なう可能性があります。日頃から小さな変化に着目し、課題や研修の際も丁寧な対応を心がけておきましょう。
2-2.他人の話に耳を傾けられない人
医師は、患者の話を聞いて共感を示したり助言したりすることが大切です。
患者の言葉に耳を傾けて感情や背景を理解することは、信頼関係の構築と効果的な治療計画の策定に不可欠です。
他人の話に耳を傾けられない人は、患者の要望や期待を正確に把握することが難しく、適切な治療計画を作れない可能性があります。また、看護師や医療事務とのコミュニケーションも不十分になる可能性が高く、チームとしての質の高い医療を提供できない恐れがあります。
日常会話でも相手の話を最後まで聞き、何を伝えたいか、どんな気持ちなのかを察する習慣を付けておきましょう。
2-3.努力が苦手な人
医師は常に進化し続ける医療技術に対応するために、新しい知識や技術を学び続ける必要があります。
努力が苦手な人は、医療技術の発展に付いていけなくなるので、医師に向いていない可能性が高くなります。
医療の進歩は速く、医師は最新の治療法や研究成果を常に把握し、それらを臨床に応用するために継続的な学習が欠かせません。
自発的に学び続けるためには、自己分析して、本当に興味のある診療科目の選定が必要です。
2-4.お金や地位に執着する人
医師の仕事は、患者の健康維持を目的とします。
お金や地位にのみ焦点を当てる人は、医師としての本質的な価値と責任を見失いやすいので向いていません。
患者の利益よりも個人的な利益を優先する姿勢は、患者の信頼を損ない、適切ではない治療計画の策定を引き起こす可能性があります。医師は、高い倫理観と患者中心のケアを基盤とするため、患者に対する深い理解と尊重が必要です。
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3.診療科目別の適性と向いている医師の性格
診療科目によって、求められる適性や向いている性格は異なります。
今回は、診療科目の中から10科目を選びました。
それぞれの診療科目別の適性と、向いている医師の性格について解説していきます。
診療科ごとのワークライフバランスについて確認したい人は以下の記事を参考にしてください。
医師のワークライフバランスの現実とは？診療科による違いと改善方法
3-1.内科
内科医には、多様な症状と疾患に対応する能力が求められます。
広範囲にわたる医学的知識を学び、患者一人ひとりの健康状態や生活環境に合わせた個別の治療計画を立てる能力も重要です。
内科医は、しばしば初診の患者を診るため、幅広い症状に対する初期診断と治療の提案も求められます。そのため、柔軟な思考と臨床経験に基づく判断力と、患者の話を注意深く聞いて的確な診断を下す分析能力が不可欠です。
常に勉強を続ける持続力と幅広い年代の患者との円滑なコミュニケーション能力、冷静な分析力が内科医には必要です。
3-2.外科
外科医には、手術中の高い集中力と精密な手技が必要です。
複雑で繊細な手術を行うため、細部に対する高い注意力と手先の器用さが求められます。
また、緊急時には迅速かつ正確な判断を下す能力も重要で、手術中の予期せぬ事態に対して臨機応変に対応する柔軟性も必要です。1つのことに集中できる医学生や柔軟に物事に対処できる適応力がある医学生は、外科医として向いているといえます。
外科医は患者の生命を直接的に扱うため、強い責任感と倫理観も求められることを忘れないでください。
3-3.小児科
小児科医には、子供たち特有のニーズに対応する優しさと忍耐力が必要です。
子供たちは小児科医に症状を正確に伝えることが難しいため、鋭い観察力とコミュニケーション能力が求められます。
また、子供たちやその家族を安心させるための話術や明るさも重要です。
優しさと包容力がある医学生は、小児科医として子供たちや家族から人気になれるでしょう。
3-4.整形外科
整形外科医には、骨や関節、筋肉などの運動器系に関する専門知識が必要です。
手術においては、高度な外科技術も求められます。
患者のリハビリテーションの際は運動や行動に関わる知識だけでなく、患者とのコミュニケーション能力も不可欠です。
整形外科医は、患者の身体的な回復と、生活の質の向上を支援します。
そのためには、専門知識と高度な外科技術、リハビリテーションの際のコミュニケーション能力が必要です。スポーツ経験者や体を動かすのが好きな医学生は、多方面から骨や筋肉への専門知識が得られるでしょう。
3-5.精神科
精神科医には、患者の心理的な問題を理解し、適切な治療を提供する能力が必要です。
そのためには、患者の話に耳を傾け、深い共感を示すことが求められます。
精神科医は、患者の心の状態を正確に把握し、個々の患者に最適な治療法を見つけるための洞察力が重要です。
相手の話をじっくり聞ける医学生や共感できる医学生は、精神科医として多くの患者の心を治療できる適性を持っています。
3-6.耳鼻科
耳鼻科医には、耳や鼻、喉などの特定の器官に関する深い知識が求められます。
耳鼻科の疾患は、患者の生活の質に大きく影響を与えるため、常に注意を払い、患者一人ひとりの症状に応じた治療計画を立てる能力が重要です。
また、小さな器官を扱うため、手先の器用さと精密な器具の操作能力が不可欠です。
細かい作業が得意な医学生や特定の分野に特化したいと考えている医学生は、耳鼻科医に向いています。
3-7.眼科
眼科医には、目とその周辺構造に関する詳細な知識と、繊細な技術が要求されます。
眼科の診療は非常に精密であるため、細かい作業に対する高い集中力と手先の器用さが必要です。
また、患者が病気に対する知識を持っていないことが多いのが眼科の特徴です。症状や患者の懸念を正確に理解し、適切な治療法を提案するためのコミュニケーション能力が求められます。
視力は患者の人生を左右する重要な要素なので、症状や患者の問題点から原因を突き止めるための深い知識が必要です。1つの分野を深掘りしたい医学生や緻密な作業が好きな医学生は、眼科医として適性があります。
3-8.皮膚科
皮膚科医には、皮膚の広範な疾患と治療法に関する広い知識が必要です。
皮膚は人体最大の器官です。多様な皮膚疾患に対処するためには、継続的な学習と研究が求められます。
また、皮膚科医は患者の外見に直接影響を与える治療を行うため、患者の精神的な側面に対する理解と配慮が重要です。年齢を問わずに患者が受診する科なので、人と接するのが好きな医学生は皮膚科に向いています。
3-9.産婦人科
産婦人科医には、女性の健康に関する広範な知識と、患者に配慮する思いやりが求められます。
出産や女性特有の健康問題に対応するためには、専門知識と患者への配慮が必要です。
同時に、妊娠中の女性や新生児のケアに関する専門的な知識が不可欠です。
産婦人科医は、女性の生涯にわたる健康管理を担う重要な役割を果たします。
産婦人科医が患者との信頼関係を構築するためには、きめ細やかな配慮と共感力が必要です。
女性の医学生や常に相手を配慮できる気配り上手な医学生は、産婦人科医として女性の健康を守る手助けができるでしょう。
3-10.救急科
救急科医は、迅速かつ効果的な医療を提供する判断力とフットワークの軽さが求められます。
救急科医は、診療科目を超えた幅広い医療知識と、予測不能な状況に対応するための柔軟性を必要とします。
また、救急医療はしばしばチームで行われるため、チームメンバーとの効果的なコミュニケーションも必要です。救急科医は、緊急事態でも常に冷静さを保ち、患者の命を救うための迅速な決断を下さなくてはいけません。
過酷な環境で働くためには、メンタルの強さと体力、瞬間的な状況判断能力が大切です。精神的に成熟し、常に冷静な判断ができる医学生は、救急科医として適性があります。
4.HSPでも医師として活躍するためのコツ
HSP（Highly Sensitive Person）は、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質の人」という意味です。
医学生の中には、HSPの傾向があることで医師として適性がないのではと悩んでいる人がいます。
しかし、HSPでも医師として立派に活躍している人材もたくさんいるのも事実です。
こちらでは、HSPが医師として働く際の注意点と、医師として働く際のコツについて解説していきます。
4-1.HSPが医師として働く際の注意点
HSPが医師として働く際は、以下のような点に注意しましょう。
- ストレスを感じやすい
- 人間関係で疲れやすい
- 不規則な生活になりやすい
HSPは音や光、相手の感情などに敏感なので、外部から受け取る情報が一般の人よりも多くなります。そのため、脳や心が情報を受け取って処理する量が増えるのでストレスを感じたり疲れやすくなったりします。
HSPは疲労が蓄積しやすい特徴がありますが、勤務先や診療科目によっては当直などの交代勤務が必要になるでしょう。
一般の人でも、交代勤務は睡眠障害を起こしやすく、疲労がとれないという問題があります。
4-2.HSPでも医師として働くコツ
HSPが医師として活躍するためには、以下のようなコツを用いることが有効です。
- 緊急手術や呼び出しがない診療科目の選択
- 交代勤務がない勤務先の選択
- 小規模の勤務先を選択
- 患者とじっくり向き合える環境
HSPがストレスや疲労を軽減するためには、緊急の手術や呼び出しがない診療科目と交代勤務がない勤務先の選択が重要です。
一定の生活リズムで働くことで疲労を最小限にし、長く医師として勤務できます。
具体的には、精神科や眼科、皮膚科や耳鼻科などは緊急手術がないので、一定の生活リズムで仕事できるでしょう。
当直をする際は、アイマスクや耳栓を使って休憩時間に刺激を遮断するのが効果的です。
また、人間関係のストレスを軽減するためには、小規模の勤務先を選択することも大切です。
施設が小さくなると医療従事者の人数も少なくなるので、人間関係の刺激を抑制できます。
HSPは人に共感しやすい一面がありますが、この性格を活かすためには患者とじっくり向き合える環境が最適です。
大規模の病院では患者が多数来院するので、診察の際に一人ひとりの話をじっくりと聞く時間が取りにくいのが現状です。
小規模の勤務先を選ぶことで、患者一人ひとりの話をじっくりと聞き、悩みや不安に寄り添った医療を提供しやすくなります。ご自身の適性を活かせることでモチベーション維持も容易になり、長く医師として勤務できるでしょう。
5.医師の適性がある人の特徴まとめ
医師として適性のある人の特徴は、以下のような特徴があります。
医師の適性が高い性格
- メンタルが強い人
- 体力がある人
- 思いやりがある人
- コミュニケーション能力がある人
- 集中力がある人
- 目標に向かって努力ができる人
それぞれの特性によって、適性にある診療科目も分かれてくるので、本記事を参考に診療科目を検討してみてください。
外部の刺激を受けやすいHSPの医学生も、一定の勤務時間で働けたり医療従事者の少ない勤務先を選ぶことで疲れやストレスを軽減して医師として勤務できます。
あなたの性格を最大限に活かす道を選び、医師として多くの患者に寄り添ってあげてください。
good!!!