患者に選ばれる「医師の身だしなみ」とは?好印象を与えるためのポイントを解説

医師の身だしなみ

不安を抱えている患者やその家族との信頼関係を築いていくために必要とされている医療接遇ですが、その医療接遇において求められるスキルのうちの1つが“身だしなみ”です。

身だしなみは、衛生面や清潔感を示すだけでなく、患者に安心感を与える手段でもあります。

そこで今回は、身だしなみのポイントはもちろんのこと、医療白衣をおしゃれに着こなすコーデのポイントや医療用白衣のお手入れ方法まで詳しく解説します。

1.身だしなみは「第一印象」を決定づける

医師や医療従事者にとって、患者との信頼関係を築く第一歩は「第一印象」にかかっています。

印象を決定づける時間はわずか3~5秒ほどとされています。その短い時間で受ける見た目の印象は、医師や看護師の人柄や態度、さらには医療行為の信頼性にまで影響を及ぼす可能性があります。

このため、身だしなみを整えることが重要です。

2.身だしなみの3原則とは

身だしなみには3原則があり、清潔感、機能性、調和の3つから成り立っています。

この3原則を理解し実践することで、身だしなみの土台を整えることができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.清潔感

清潔感は、髪型や服装、身体の衛生状態、匂いなどが対象となり、第三者の視点から見て清潔が保たれているという点が重要になります。また、清潔感を維持することで、医療現場で必要とされる衛生面を正しく保つことも重要です。

これらが満たされることで患者に対して安心感や信頼感を与えることにつながります。また、きっちりと白衣やナース服を着こなすことでプロフェッショナルな印象を与え、治療に対する心理的な抵抗感を軽減できます。

【清潔感のある身だしなみ例】
  • 髪の毛や髭が整っている
  • 衣服にシワや汚れがない
  • 身体が清潔である
  • 匂いが気にならない

2-2.機能性

医療現場では、迅速かつ正確な判断と行動が求められるため、服装や装備の機能性は重要です。業務の妨げにならず、動きやすい服装や装備を整える必要があります。

【機能性に優れた身だしなみ例】
  • 動きやすい服装(例:ストレッチ性の高い素材の白衣やスクラブ)
  • 効率的な作業をサポートするデザインや素材(例:ポケットの配置や大きさが適切なデザインの白衣)
  • 業務内容に適した装備

2-3.調和

TPOに配慮し、病院という場にふさわしい身だしなみを意識することで調和を整えることができます。

病院らしくない身だしなみは、患者に不安感を与えることにもつながるため、調和のとれた身だしなみを意識することは医療従事者としての信頼性を高めるためにも重要です。

また、調和を保つことはスタッフ間での意識の統一にもつながるため、チームワークや職場全体の印象の向上も実現できます。

【調和を意識した身だしなみ例】
  • 職場の雰囲気に合わせた清潔感のある白衣を着用する
  • 患者に安心感を与える控えめなデザイン

3.医療接遇の観点から取り入れたい身だしなみのポイント2つ

3つの身だしなみの3原則(清潔感・機能性・調和)に加え、医療接遇においては、他にも2つのポイントを取り入れる必要があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.安全性を意識した身だしなみ

医療現場においては、患者の安全を守るための配慮が重要です。例えば、長いネイルやアクセサリーは、患者の皮膚や患部を傷つけたり、医療器具を扱う際に清潔さを損なったりする可能性があります。

また、香水や香りの強いヘアケア用品、柔軟剤なども注意が必要です。医療従事者は香りを控えめにし、患者の快適性を第一に考えることが大切です。

3-2.衛生面を考慮した身だしなみ

医療従事者は患者と接触する機会が多いため、「衛生面」を徹底することが求められます。特に免疫力が低下している患者にとって、感染予防は生命に関わる重要な課題です。

不衛生になりやすい髪や爪に特に注意が必要です。お辞儀の際に髪をかき上げる必要がない髪型にしたり明るいヘアカラーを避けたりすることが大切です。また、爪は短く切り清潔に保ちましょう。

さらに、接触時には必ず手指の消毒を行い、必要に応じて手袋やマスクを着用することも衛生的な身だしなみの一部といえます。

4.身だしなみを意識したアイテム選びのポイント

医療現場では、着用するアイテム1つ1つが、機能性や安全性を考慮したものであることが求められます。

白衣や履物、髪色、アクセサリーなどの選び方ひとつで、医師としての印象が大きく変わります。患者に安心感を与え、より信頼される医療従事者となるためには、アイテム選びのポイントを理解することが重要です。

ここでは、医師としての身だしなみを踏まえたアイテム選びのポイントを詳しく紹介します。

①白衣

白衣は医師や看護師の象徴として定着しており、現場で働く人々が自身の役割を再確認するきっかけとなるだけでなく、患者にとっても「医療のプロフェッショナル」に接しているという安心感をもたらします。

身だしなみを踏まえた白衣選びのポイント
  • 業務中の疲労軽減とパフォーマンスの向上の観点からストレッチ素材やスリット入りのデザインを選ぶ
  • 必要な道具や物品を効率的に持ち運べるよう、ポケットの数や大きさ、配置が工夫された白衣を選ぶ
  • 特に女性医療従事者は透け防止のための生地選びが大切
  • 頻繁な洗濯にも耐える耐久性があり、型崩れしにくい生地を選ぶ

②履物

かつては通気性に優れたサンダルが多く用いられていましたが、現在では足をしっかり覆うスニーカーなどの履物が推奨されています。スニーカーは足全体を守るだけでなく、動きやすさや安定性にも優れています。

一方で、サンダルには汚れても簡単に洗浄できるといった機能的な利点もありますが、医薬品や物品が足元に落ちてきた場合や、災害時に患者を迅速に誘導する必要が生じた際には十分な安全性を確保できない可能性があります。

そのため、患者や職員自身の安全を守るという観点からも、スニーカーなどの足をしっかり保護する履物が適しています。

③靴下・ストッキング

靴下についても、ビジネスパンツを着用する場合には黒色系統の靴下が、スクラブやケーシー型のユニフォームに合わせてスニーカーを履く際には白色の靴下を選びましょう。

スカートを着用している場合にはストッキングを着用するのが適切とされています。素足での業務は医療従事者としての身だしなみを欠く行為とみなされるため注意が必要です。

④頭髪の色

髪色についても、基本的には自然な色味が推奨され、黒色が基準となります。ただし、カラーリング自体は禁止されているわけではなく、診察や看護の際に患者から違和感を持たれない色合いであることが重要です。

髪色の基準を明確にするためには、NPO法人日本ヘアカラー協会(JHCA)のレベルスケールが参考になります。

髪の明るさを4〜15の12段階に分けており、一般的な黒髪はレベル5程度に該当します。多くの医療機関では、髪色を認める場合でもレベル6〜7程度までと設定することが一般的です。

【髪色での注意点】

「プリン髪」や白髪が目立つ状態は避けるべきです。プリン髪は染めた髪と地毛の境目が目立つ状態であり、清潔感を損なう原因となります。

白髪については個人差があるため指導には配慮が必要ですが、患者に与える印象を考慮し、見た目の整え方を工夫する必要があります。

インナーカラーについても控えめにすることが望ましいでしょう。ベースが暗い色味であっても、インナー部分が明るすぎる場合は目立ちすぎてしまい、年配の患者様には不信感を与える可能性もあります。

参考:日本ヘアカラー協会「JHCA レベルスケール」

⑤アクセサリー

アクセサリーは患者の体を傷つける可能性があるため、着用しないことが大切です。特に、女性が日常的に身に着けることの多いピアスに関しては、診療中に外れてしまうリスクもあります。

ピアスが患者の身体や衣類に引っかかることで、怪我をさせる可能性もあるため、医療現場ではピアスの着用は禁止している場合が多いです。

また、眼鏡についても華美なデザインのものは控えるべきです。

5.医療用白衣をおしゃれに着こなすコーデのポイント

「白衣=無難なスタイル」と思われがちですが、カラーやシルエット、小物を工夫することで、清潔感を維持しながら自分らしさを表現できます。

医療用白衣をおしゃれに着こなすためのポイントを詳しく解説します。

5-1.白衣とインナーのカラーと素材を工夫する

白衣の色は白だけでなく、淡いピンクやブルー、グリーンなどの優しい色味を選ぶことも可能です。清潔感を保ちながら、患者に安心感を与える効果があります。

また、インナーに淡いピンクやブルーなどの柔らかい色味を選ぶことで、清潔感を保ちながら個性を演出できます。

5-2.シルエットにこだわる

白衣のシルエットは、印象を大きく左右します。丈が長いタイプの白衣は、縦ラインが強調されてスタイリッシュに見える一方、丈が短いタイプは動きやすさを重視したカジュアルな印象を与えます。

また、女性の場合はウエストに絞りのあるデザインを選ぶのも1つの方法です。

素材はしわになりにくく、軽やかで動きやすいものを選ぶと機能性が向上します。例えば、上質感のあるマットな生地を使った白衣は、上品さと実用性を兼ね備えています。

5-3.遊び心を取り入れる

白衣に遊び心をプラスすることで、患者とのコミュニケーションが円滑になる場合があります。

例えば、ポケットに可愛らしいチャーム付きのペンを忍ばせたり、シューズをカラフルなデザインにするなど、小物でさりげないおしゃれを取り入れることができます。

特に、小さな子供や若い患者が多いクリニックでは、このような工夫が緊張を和らげる効果を発揮します。

5-4.小物使いで知的な印象を与える

白衣のコーディネートにシャツやベストを加えることで、知的な印象を強調することができます。

特に、クレリックシャツのように襟や袖に白を残しつつ、色を加えたデザインは清潔感を損なわずにおしゃれを楽しめます。

また、セットアップではないベストを組み合わせることで、適度にカジュアルさをプラスし、患者に親しみやすさを与えることも可能です。

6.医療用白衣(スクラブなど)のお手入れ方法

医療用白衣(スクラブなど)は、清潔な状態を維持するために適切にお手入れすることが大切です。誤った方法では生地を傷めるおそれがあります。

日々のお手入れやひどい汚れの落とし方について、詳しく見ていきましょう。

6-1.日々のお手入れ

白衣のお手入れでは、1日に一度は柔らかいブラシを使ってホコリや汚れを落とすことが推奨されます。生地を傷めないよう、力を入れすぎないことがポイントです。

洗濯する際は、必ず洗濯表示を確認し、中性洗剤を使用しましょう。

汚れがひどい場合には弱アルカリ性洗剤を使用できますが、生地を傷める可能性があります。洗濯後は、風通しの良い場所で陰干しをします。

その際、型崩れを防ぐために厚めのハンガーを使用することが重要です。

6-2.ひどい汚れの落とし方

白衣の白や淡い色は汚れや黄ばみが目立ちやすい特徴があります。ボールペンや食べ物の汚れ、汗染みなどが気になる場合は、洗濯前に浸け置き洗いを行いましょう。

ぬるま湯に弱アルカリ性の粉末洗剤を加えた溶液に1時間ほど浸けることで、汚れが落ちやすくなります。

6-3.特に頑固な汚れの落とし方

特に頑固な汚れの場合には、シミ抜きを行います。

例えば油性ペンの汚れにはエタノールや除光液を使い、裏側にタオルをあてて歯ブラシで叩くと徐々にインクが移り落ちます。

一方、水性ペンには漂白剤や弱アルカリ性洗剤を使うと効果的です。また、襟や袖口の皮脂汚れはベビーパウダーを予めまぶしておくことで防げます。

6-4.シワがない状態をキープする

白衣やスクラブは形状記憶素材やシワになりにくい素材のものも多く、アイロンがけが不要な場合がほとんどです。

それでも、着用中の動きや洗濯後の乾燥過程で生じるシワが気になる場合には、霧吹きを活用するのがおすすめです。

白衣やスクラブに軽く霧吹きで水を吹きかけ、風通しの良い場所に吊るして乾燥させるだけで、シワを伸ばせます。

ただし、綿やウール素材で作られた白衣やスクラブはシワがつきやすい傾向があります。適切な温度設定で丁寧にアイロンをかけましょう。

【白衣へアイロンをかける時のポイント】

白衣にアイロンを掛ける際は、全体に均一に当てるのではなく、パーツごとに分けて丁寧に作業を進めることが重要です。
一気に全体を仕上げようとすると、思わぬシワができたり、不要な折り目がついてしまったりします。

1.白衣のラペル部分から始めます。
白衣の印象を大きく左右する「顔」ともいえる箇所であり、目立ちやすい場所です。
ラペルの折り返し部分にはゆとりがあるため、平らに整えながら少しずつアイロンを当てていきます。特に上襟の下に位置するラペル部分は形が崩れやすいため、力を入れすぎず、丁寧に仕上げましょう。

2.白衣の向きを変えながら前身頃や前脇部分、脇の下にアイロンをかけます。
脇の下は複雑な形状をしているため、表地からではなく裏地側からかけましょう。

3.袖部分にアイロンを掛ける際には、袖を平らに整えた状態で進めることがポイントです。
ただし、袖を平らにしたときにできる自然な折り目にはアイロンを掛けないよう注意しましょう。

7.医療接遇における身だしなみ「チェックポイント」

医療従事者にとって、身だしなみは患者に与える第一印象を左右する重要な要素です。清潔感や信頼感だけでなく、医療現場における安全性や衛生管理にも直結します。

ここまで紹介した内容を踏まえ、医療接遇における身だしなみのチェックポイントを紹介します。

項目

ポイント

頭髪

男性
・髪型は短く整え、清潔感を意識する
・前髪は視界を遮らないよう、目にかからない長さにする
・髪色は控えめで落ち着いたトーンを選び、派手な色は避ける
・髭は毎日手入れをし、清潔な状態を保つ
・地毛を整え、定期的に手入れを行う

女性
・髪が長い場合は、きちんとまとめて作業中に邪魔にならないようにする
・前髪が目にかからないよう、視界を確保する工夫をする
・髪色は落ち着いたトーンを選び、患者に安心感を与えるカラーを心がける
・ヘアアクセサリーはシンプルなものを使用し、目立ちすぎないようにする
・ヘアコロンや強い香りのアイテムは控える

アクセサリー

・原則としてアクセサリーの着用は控える
・結婚指輪に関しては、病院の規定に従う
・カラーコンタクトの使用は控え、自然な印象を心がける

ユニフォーム   

服
・衣類にシワやシミ、汚れがないよう常に気を配る
・透けない素材の服を選び、下着が見えないように配慮する
・ズボンやスカートの裾にほつれがないかを定期的に確認する
・カーディガンや羽織物は黒・紺・グレーなどの落ち着いた色を選び、派手な印象を避ける

靴
・靴は清潔で手入れが行き届いているものを選ぶ
・サンダルの使用は避け、スニーカーのように足全体を覆うデザインを選び、安全性と清潔感を重視する

化粧

・ナチュラルな化粧を心がけ、清潔感を保つ
・化粧崩れがないか常にチェックし、整える
・口紅は白っぽい色やブラウン系を避け、職場にふさわしい色を選ぶ
・香水の使用は控える

爪

・爪は短く整え、清潔に保つ・
・ネイルはしないことで清潔感を維持する
・手や指先の細部まで清潔にし、患者に安心感を与える

上記のように、細部にまで気を配ることで、安心感や好印象を与え、より良い医療環境の実現につながります。

8.まとめ

医師の身だしなみは、単に見た目を整えるだけでなく、患者に安心感を与え、信頼関係を築くための大切な要素です。

清潔感や機能性を考慮した服装やアイテム選びは、医療従事者としてのプロフェッショナルな姿勢を示し、より良い医療環境をつくることにもつながります。

清潔感と安心感を大切にしながら、自分らしいスタイルを取り入れ、医療現場にふさわしい身だしなみを実践していきましょう。

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