人間ドック・オプション検査の選び方を解説!自分に合った受診方法

人間ドック オプション 選び方

「人間ドックは高くて、時間もかかるから面倒・・・・・・」
「オプション検査がたくさんありすぎて、どれを選べばいいか分からない」

人間ドックは健康なら受けなくていいと思っていませんか?
実は、自覚症状がないからこそ、人間ドックは重要です。早期発見・早期治療による予防医療を通じ、健康寿命を延ばすことにもつながります。

そこでこの記事では、人間ドックのオプション検査の選び方を紹介します。目的、年齢・性別、症状や家族歴別に自分に合ったオプション検査を見つける方法をまとめていますので、最後までご一読ください。

1.人間ドックとは

人間ドックとは、病気の早期発見・早期治療を目的として実施される任意の健康診断です。 

超高齢社会を迎えた日本では、健康寿命を延ばすことの重要性が高まっています。 その際、自覚症状が出る前に病気を発見し、早期治療することが大切です。

そこで、人間ドックは健康診断よりも詳細な検査を行うことで自覚症状がない病気の早期発見・早期治療に繋げ、健康寿命の延伸に役立ちます。

1-1.人間ドックと健康診断との違い

人間ドックと健康診断は、どちらも健康状態をチェックするための検査ですが、その目的や法的義務の有無、費用、検査内容に違いがあります。

人間ドックとの対比を分かりやすくするために、ここで言う健康診断は労働者の定期健康診断を指しています。

人間ドック

定期健康診断

目的

病気の早期発見・早期治療

労働者の健康状態の把握

法的義務

なし

あり(労働安全衛生法で年1回の受診が義務付けられている)

費用

全額自己負担(一部、補助金制度を利用できる場合あり)

無料(会社負担)

検査内容

血液検査、尿検査、身体測定、視力検査、聴力検査、胸部X線検査など一般的な健康診断の内容を含む
+眼底・眼圧検査、便潜血検査、腹部超音波検査呼吸機能、上部消化管X線など
+オプション検査40~100項目

血液検査、尿検査、身体測定、視力検査、聴力検査、胸部X線検査など10~15項目程度

検査の自由度

高い(オプション検査を追加できる)

低い

所要時間

半日~2泊3日

数時間

健康診断は、労働安全衛生法で定められた検査項目を基本とし、主に定期的に健康状態の把握をすることを目的とした法定健診です。「定期健康診断」と呼ばれています。

一方、人間ドックは、法定の検査項目に加えて、がんや脳疾患などの検査も含まれ、より詳細な検査が可能です。また、人間ドックは自由診療であるため費用は自己負担になりますが、オプションで検査項目を自由に選択できるというメリットがあります。

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2.なぜ人間ドックを受けるべきか

人間ドックを受診するメリットは下記の3つが挙げられます。

2-1.病気の早期発見・早期治療につなげる

人間ドックは、自覚症状がない病気の早期発見・早期治療に役立ちます。
特に、脳血管障害、がん、心疾患といった三大疾病や、生活習慣病、メタボリックシンドロームなどは、初期段階では自覚症状が現れにくい傾向があるため要注意です。 人間ドックでこうした病気を早期に発見し治療を開始することで重症化を防ぎ、健康寿命を延ばすことに繋がります。

2-2.保健指導が生活習慣の改善に役立つ

人間ドックでは、検査結果に基づいた保健指導が受けられるのも大きなメリットです。医師や栄養士など医療のスペシャリストから個別でのアドバイスを通じ、自身の健康状態を客観的に把握し、生活習慣を見直す良い機会を持つことができます。

保健指導の対象者は、定期健診であれば40歳以上の腹囲やリスクの有無の基準によって判定されますが、人間ドックは対象者の年齢が40歳以下であってもリスクを抱えていると判断された場合は保健指導の対象になります。対象者の判定は人間ドックの内容や医療機関によって異なりますが、詳細な検査結果に基づいて指導を受けることができます。

また、人間ドックでは検査当日に結果説明と保健指導を受けることができるため、タイムリーに生活習慣の改善に取り組むことができます。実際、人間ドックに関する研究によると、人間ドック当日に結果説明と保健指導を受けた人は、そうでない人に比べて、血圧やLDLコレステロールなどの数値が改善する傾向が見られました。

つまり、保健指導は生活習慣の改善に効果的であり、特に人間ドックでは、より個別化された指導をタイムリーに受けられるというメリットがあります。

参照:『人間ドック当日の結果説明・保健指導の現状と効果』|東ゆかり、他(2022)

2-3.医師が勧める人間ドックの受診頻度

人間ドックの受診頻度

株式会社医師のとものアンケート結果によると、医師の半数以上が、人間ドックは年1回の定期的な受診が有効だと考えています。 その理由として、「早期発見のためには、間隔をあけずに定期的に受診することが大事」「金銭的にも無理なく続けられる頻度」などが挙げられています。

もちろん、年齢や健康状態、既往歴などによって適切な受診頻度は異なります。しかし、定期的な受診により自身の健康状態を把握し、病気の早期発見・早期治療に繋げやすくなるだけでなく、生活習慣改善のモチベーション維持にも役立つと考えられます。

参照:医師のとも【アンケート結果】人間ドック受診適応期はいつ?医師がおすすめする検査など一挙公開!医師938人に聞いてみました

3.人間ドックのオプション検査の選び方

人間ドックでは、基本検査項目に加えて個人のニーズやリスクに合わせて検査項目を追加できる「オプション検査」があります。

基本検査項目
基本検査項目は、身体測定、視力・聴力検査、血圧測定、血液検査、尿検査、胸部X線検査、心電図検査といった一般的な健康診断でも行われる検査から、さらに詳細な検査項目が含まれます。例えば、眼底検査や眼圧検査、呼吸機能検査、上部消化管X線検査(胃バリウム検査)、腹部超音波検査(腹部エコー)など、全身の健康状態を幅広くより精密に検査することが可能です。

オプション検査項目
オプション検査項目は、特定の病気のリスクが高い人や、特定の部位を詳しく調べたい人向けに用意されています。 例えば、がんのリスクが高い人向けの腫瘍マーカー検査や、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高い人向けの脳ドックや心臓ドックなどがあります。

オプション検査を受けることで、基本検査では発見できない病気を見つけたり、特定の病気のリスクをより詳しく評価したりすることができます。

下記で、具体的なオプション検査の選び方を3つのポイント別で紹介します。

3-1.年齢・性別を参考に選ぶ

年齢や性別によって、かかりやすい病気や注意すべき健康リスクは異なります。 そのため、人間ドックのオプション検査を選ぶ際は、年齢・性別に応じた検査項目を検討することが大切です。

20代・30代
若い世代でも将来の病気のリスクに備えて、生活習慣病の予防に繋がる検査を受けることがおすすめです。 具体的には、脂質異常症や糖尿病のリスクを評価する血液検査や、動脈硬化の進行度合いを調べる血管年齢測定などが挙げられます。

20代・30代の女性は若い世代でも発症するリスクがある乳がんや子宮頸がんの検査を受けることが推奨されます。また、男性は30代頃から生活習慣による動脈硬化のリスクが高まるため、脳ドックや心臓ドックをおすすめします。また、胃がんや大腸がんのリスクも考慮し、胃内視鏡検査(胃カメラ)や胃がんリスク検査(ABC検査)、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)も検討するとよいでしょう。

40代
40代になると、生活習慣病のリスクがさらに高まり、がんの発症リスクも高まってくる年齢層です。生活習慣病や基礎疾患も増えてくるため、人間ドックを活用した毎年の健康チェックが重要となります。具体的には、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの検査に加え、心臓や血管の検査、がんのリスクを評価する腫瘍マーカー検査などをおすすめします。

女性は特に、40代後半に乳がんの罹患率が最初のピークを迎えます。そのため、マンモグラフィや乳腺超音波検査などの乳がん検査の積極的な受診が推奨されます。また、子宮頸がんや卵巣がんのリスクも高まる年代のため、合わせて検討するとよいでしょう。一方、男性は30代から肺がん、胃がん、大腸がんの発症リスクが高まり、歳を重ねるにつれてさらに高まります。また、食生活の偏りや運動不足といった生活習慣の影響が現れるのも40代です。飲酒・喫煙習慣も考慮しながら、消化器系に加えて脳や心臓などの複数臓器を全体的にスクリーニングする検査をおすすめします。

50代以上
50代以上は、がんや心疾患、脳卒中をはじめとする様々な病気のリスクが高まります。 例えば、がん予防では臓器別のMRIやCT検査、PET検査が基本です。さらに、一度に全身の小さながんまで発見しやすいDWIBS(全身MRI検査)を積極的に受診しましょう。また、動脈硬化のリスク評価や、心臓、肺、肝臓などの臓器の機能を詳しく調べる検査も重要です。

男女別のポイントとしては、女性は50代頃から子宮体がんや子宮内膜がんの発症リスクが高まるため、子宮頸がん検査に加えて、子宮体がん検査や経腟超音波検査をおすすめします。また、閉経に伴い骨粗鬆症のリスクも高まるため、骨密度検査も検討しましょう。一方、男性は50代頃から前立腺がんの発症リスクが高まります。PSA検査や前立腺超音波検査(前立腺エコー)など、前立腺がんの早期発見に繋がる検査を検討してください。

3-2.家族の既往歴を参考に選ぶ

家族の既往歴を参考に、関連するオプション検査を追加することもおすすめです。

例えば、家族にがんや心疾患、糖尿病などの既往がある場合は、腫瘍マーカー検査や心エコー検査、上腹部MRIなどそれぞれの病気に特化した検査を受けることで、早期発見・早期治療に繋がる可能性を高めることができます。

3-3.気になる症状を参考に選ぶ

自覚症状がある場合は、症状に関連するオプション検査を受けることが有効です。 一例として、胸痛や動悸がある場合は心臓ドック、頭痛やめまいがある場合は脳ドックなど、気になる症状に合わせて検査を選びましょう。 

ただし、自覚症状がなくても病気が潜んでいる可能性はあります。 定期的に人間ドックを受診し、医師と相談しながら必要な検査を受ける意識が重要です。

参照:【特集】人間ドックで行う検査、健康診断の結果でチェックすべきポイントについて _ NHK健康チャンネル

4.人間ドックに関するQ&A

人間ドックに関するよくあるQ&Aを下記でまとめて紹介します。

Q.健康で身体の不調を感じていませんが、人間ドックは受けるべきですか?

自覚症状がないからこそ、人間ドックは重要です。 三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)や生活習慣病は、初期には自覚症状が現れにくい傾向があります。 定期的な人間ドックで早期発見・早期治療につなげ、健康寿命を延ばしましょう。 特に、家族にこれらの病気の既往がある場合は、積極的に受診を検討しましょう。

Q.人間ドックで見つかりやすい病気はありますか?

がん、心臓病、脳血管疾患の三大疾病や、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が見つかりやすいです。 

Q.人間ドックは1年ごとに受けないといけませんか?

理想は年1回の受診です。健康状態は1年間で変化が起こりうるため、できる限り毎年受診するのが良いでしょう。特に40代以降は病気の発症リスクが高まります。加えて、飲酒や喫煙などの生活習慣が気になる方や、日常的に動悸や息切れなど自覚症状を感じている方は、積極的な受診をおすすめします。

Q.人間ドックは高いイメージがありますが、費用相場はどれくらいですか?

一般的な日帰り人間ドックの費用相場は3~6万円程度です。 検査項目や医療機関によって費用は異なります。 また、オプション検査を追加すると費用が高くなる傾向があります。 国民健康保険や社会保険で補助金制度を利用できる場合もありますので、事前に確認しましょう。

Q.人間ドックで「再検査」と言われましたが、受けなければいけませんか?

必ず受診しましょう。 「再検査」は、数値の異常が疾患に繋がる可能性があることを意味します。再検査を受けない場合、数値の異常は一時的なものなのか疾患によるものなのか確認することができません。もし疾患によるものだった場合、病気が進行し、治療が困難になる恐れもあるので要注意です。「再検査」「要精密検査」の場合は保険適用となります。

5.まとめ

人間ドックは、自覚症状のない病気を早期発見し、健康寿命を延ばすために積極的に受診したい検査です。 定期的な受診と保健指導により生活習慣の改善にもつながります。
中でもオプション検査は、年齢・性別、家族歴、気になる症状を参考に、医師と相談しながら選ぶことで、 健康を守るための第一歩に繋がります。
人間ドックを受診する際は、オプション検査も合わせて検討してみましょう。