医師の転職活動は、忙しい日々の中で効率よく進めることが大切です。
そのためには、情報収集をはじめ転職活動の流れを意識した行動をしなければなりません。
ただ、これまで転職活動をしたことがない医師の場合、有利な形で転職先を決めるなら、転職エージェントの活用が成功の鍵を握ります。
そこで、この記事では、医師の転職活動の基本的なポイントを確認した上で、転職活動の流れや転職市場の状況、転職エージェントのメリットを紹介します。
特に、転職エージェントを活用する魅力を丁寧に案内しますので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
1. 医師の転職活動で最低限押さえておきたい3つのポイント
医師の転職活動では、次の3つのポイントを踏まえて行動することが重要です。
特に、「ポイント2. 転職活動の流れをイメージしよう」という点は、転職を決めてから出会うさまざまなシーンを意識しておくことで、スムーズな活動につなげるために大切なところです。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
1.1 ポイント1. 今すぐ情報収集を始めよう
転職をしようと決めたら、まず医師の転職に必要な情報収集からスタートしましょう。
情報収集とは、単に希望するイメージに合った転職先を検索するだけにとどまりません。転職に併せて診療科目や病院の経営形態・規模、所在する地域などが変わるときは、それぞれの条件によって働き方や生き方がどう変化するか、想定しながら情報を読み込む必要があります。
また、家族がいる場合は、家族の意向を確認することはもちろんですが、生活スタイルや育児や教育、介護など、転職に伴って大きくライフスタイルが変わる可能性もあります。こうした転職先以外の情報も早いうちから細かくリサーチしておくことが大切です。
1.2 ポイント2. 転職活動の流れをイメージしよう
転職活動には、それぞれの段階によってある程度流れがあります。
基本的な流れは、情報収集に始まり、実際に求人先に応募・見学をし、面接を受けて内定をもらって退職と就職をする、といったイメージです。
転職活動で直面するそれぞれの流れを念頭に置きながら行動しないのは、地図を持たずに一人で航海に出かけるようなもので、ベストなルートで目的地にたどり着けなくなります。
転職活動の流れについては、この記事の後半で詳しく紹介していますので、ぜひ確認してください。
1.3 ポイント3. 転職エージェントの活用は成功の鍵
多忙な医師の転職活動には、プロのサポートによる転職エージェントをぜひ利用しましょう。
転職エージェントは、転職活動の専門家が集まっており、さまざまな角度から転職に必要なサポートを提供しています。情報提供や助言、応募書類の添削や面接指導をはじめ、求人先との連絡調整や条件交渉まで、忙しい医師に代わって転職活動のあらゆるシーンに役立つサービスです。
また、一般には公開されていない求人情報を持ち、登録者に合わせて案件紹介をしているケースが大半である点も大きな魅力といえます。
転職エージェントをおすすめする理由について、次の章で詳しく紹介します。
2. 転職エージェントの活用が成功の鍵を握る3つの理由
転職エージェントの活用が医師転職の成功に大きく影響する理由は次の3つが挙げられます。
- 【理由1】非公開求人を含め膨大な情報を持っているから
- 【理由2】医師転職のプロによるカウンセリングが受けられるから
- 【理由3】転職活動全般をサポートしてくれるから
中でも、「【理由3】転職活動全般をサポートしてくれるから」という点は、日々の診療で忙しい医師にとって大きな魅力です。
では、具体的に紹介していきます。
2.1 【理由1】非公開求人を含め膨大な情報を持っているから
転職エージェントに集まる求人案件は、求人先の都合で非公開求人も意外と多いことが特徴です。
そのため、ハローワークや病院の公式ホームページ、求人情報サイトに公開されていない、思わぬ求人先が見つかったというケースはよく耳にします。
転職エージェントの営業スタッフは、日々人材を探している病院と接触しているため、オフレコで求人希望を伝えていることも少なくありません。病院が非公開求人とする理由は、次のようなものがあります。
- 他の病院に給与や待遇面など、求人事情を知られたくないから
- ある程度信頼できる応募者を集めて選考したいから
いずれにせよ、転職エージェントが持つ非公開の求人案件は、公開されているものより条件が良かったり、選考がスムーズに進んだりといったメリットが大きいため、積極的に検討するべきポイントです。
2.2 【理由2】医師転職のプロによるカウンセリングが受けられるから
転職エージェントでは、具体的に応募した求人先が決まってない段階でも、経験豊富なスタッフにおすすめの病院や働き方のアドバイスを提供します。
特に「将来、どのようにキャリアアップしていけばいいか悩んでいる」「もっと自分に合った病院がいいが、うまく探せない」など、転職活動の最初のステージで悩んでいる医師のニーズに応えてくれます。
スタッフの多くは、医師転職に関する知識や経験、スキルが豊富な上に、医師転職市場の動向もフォローしています。また、過去にたくさんの医師転職をサポートした実績により、個別カウンセリングを通して登録者に合った求人先を案内したり、応募や面接時のアドバイスをするなど、総合的に転職活動をバックアップすることが特徴です。
診療科を他のジャンルに転向したい、もっと働きやすい勤務条件の病院が知りたい、など、他ではなかなか話しづらいこともプロのスタッフに安心してカウンセリングで伝えることができます。
2.3 【理由3】転職活動全般をサポートしてくれるから
医師の転職エージェントは、転職活動全般をサポートしてくれる忙しい医師の味方です。
まず、サービスによっては転職活動のスケジュール管理や求人先との連絡調整まで、任せることができます。転職エージェントは、初回登録時の面談でヒアリングした転職に向けたスケジュール感や希望条件に基づいて求人先の紹介をします。応募後、登録者である医師と応募先の病院との間に入って、面接の日程調整を行ってくれるので、転職活動がスムーズです。
また、転職エージェントなら、求人先の特徴や強み、職場環境や待遇、雰囲気といった詳細を詳しく伝えてくれます。転職エージェントのスタッフのもとには、営業を通じて蓄積された各病院やクリニックの豊富な情報があるため、医師が検討している求人先の生の声をダイレクトに提供できるのです。
さらに、年収や待遇にまつわる応募先との交渉や、履歴書添削や面接対策といったフォローも、転職エージェントを利用する魅力のひとつです。医師に代わって条件交渉や転職時期の調整をしたり、応募先に合わせて応募書類や面接に関するアドバイスも受けられるため、業務と並行しながら安心して転職活動に注力できるでしょう。
こうした転職エージェントのサービスを最大限活用すれば、理想の転職へと大きく近づくことができます。
次の章では、転職活動の具体的な流れを紹介します。
転職エージェントを利用したケースをイメージしながらご確認ください。
3. 医師の転職活動の5つの手順
医師転職の流れは、以下の5つの手順で進みます。
- 【手順1】キャリアプランと転職目的を絞り込む
- 【手順2】転職までの計画を立てる
- 【手順3】情報を収集する
- 【手順4】見学や応募をする
- 【手順5】退職して転職先へ移る
特に、「【手順3】情報を収集する」というところは、より自分に合った転職先と出会うために重要なポイントなので、具体的な方法をご案内します。
では、ひとつずつ流れを確認していきましょう。
3.1 【手順1】キャリアプランと転職目的を絞り込む
キャリアプランを具体化し、なぜ転職したいかを改めて考えることは、今後の医師としての生き方を見据える重要なステップです。
まず、自己分析の作業を通して、これまでのキャリアを棚卸しするとともに、将来的な目標や働き方を明確にします。その結果に基づいて、転職によってどのようなキャリア形成を目指しているのかを、キャリアプランを詳しく書き出すことがポイントです。
さらに、キャリアプランと転職する目的を近づける作業を行います。具体的には、希望する病院の規模や経営方針、転職で目指す役職や立場など、ひとつずつ実際に転職で手に入れたいワークスタイルを転職目的にまで落とし込む必要があります。
3.2 【手順2】転職までの計画を立てる
医師転職は、6か月から1年程度の期間がかかるケースが多いため、転職までの計画を明確にまとめることが大切です。
もし、4月入職を考えているのなら、少なくとも半年前の前年10月には自己分析や転職条件などを考え始めなければなりません。
特に、医局に所属していたり、勤務医の退職に対して独特な考えを持っている病院によっては、円満退職のためさまざまな準備期間が必要なこともあります。
確実に転職を成功させるには、1年程度の余裕を持って転職時期から逆算しながらスケジュールを考えるとより安心といえます。
3.3 【手順3】情報を収集する
情報収集は、医師転職の成否を大きく左右するといっていいステップです。効率よく進めるためには複数の情報収集方法を活用することが大切になります。
具体的には、次の方法が挙げられます。
1.ネット検索
インターネット検索をすると、転職サイトや病院のWebサイト、医師向けのオンライン情報サービスなどさまざまな発信元が見つかります。SNS検索で求人情報や転職活動のポイントがヒットすることもあります。
2.転職エージェント
医師専門の転職エージェントは、応募者の経歴やスキル、勤務条件などを伝えると、希望にマッチする求人案件を提案してくれます。また、スタッフとのやりとりのなかで、非公開求人の紹介を受けられるチャンスもある点が魅力です。
3.人間関係を通じた口コミ
医学部時代の友人や先輩後輩、勤務先の信頼できる同僚に求人情報や転職活動の実体験などを聞くのも良い方法です。これまで育んできた人脈を活用すると、実際のリアルな情報を得られます。また、学会や研修、勉強会といった各種イベントやセミナーに参加し、アンテナを張っておくことも効果的でしょう。
4.医師会やメディア
医師会のWebサイトや広報誌にも地域の求人情報を掲載している場合があります。また、業界専門に限らず全国紙や地方紙、業界紙・業界誌などの求人広告も参考になります。
3.4 【手順4】見学・応募・面接を受ける
施設の見学、実際の応募、そして面接へと進む3つのステップは、医師の転職活動のヤマ場です。
まず、収集した情報を比較・精査しながら、自分に合った候補先をピックアップし、まず見学を申し込みます。施設見学は、手元の情報で描いたイメージと現況との違いをリアルに体感して、希望条件とのマッチングを見る大切なプロセスです。インターネット中心の情報収集や、転職エージェントに依頼する場合でも、必ず現地に出向いて実際の様子を確認しておく医師が大半です。見学中は、勤務中のスタッフとの会話を通して現場の生の声を収集する、病院の環境や設備の充実度を確認する、といった視点で訪問するとより充実した施設見学につながります。
次に、施設見学で得た情報に基づいて、求人先を絞り込み応募します。施設の事務局に電話やメールで問い合わせてから、履歴書や職務経歴書などの応募種類を郵送するケースが一般的です。病院によってはWEBやメールで応募書類を受け付けているところもあります。ちなみに、近年医師専門の転職エージェントを活用する医師が増加しています。応募書類の提出や面接の日程調整など、応募に必要な求人先とのやりとりをプロのキャリアアドバイザーが代行し、在職中の転職活動を効率的に進められる点がメリットです。
そして面接では、経営陣や上司となる役職メンバーの運営方針や将来像などを丁寧に確認します。施設見学で生じた不明点を質問する、また将来のキャリアビジョンや施設にどういった形で貢献できるのかをアピールすることが大切です。面接の場は、ただ選考を受ける側として面接に臨むのではなく、応募者として求人先を見極め、積極的にアピールするチャンスといえます。
3.5 【手順5】退職して転職先へ移る
応募先から内定が出たら、スムーズに現職を退職できるように早めの対応をしていきます。
具体的には、退職の意向を伝え、職場での引き継ぎのやり方をスタッフと相談し、現場に迷惑を掛けない姿勢が重要です。
なお、勤務先の病院によって退職を伝えるタイミングは異なります。医局の場合は半年前、病院の場合は3か月前が目安ですが、個々の職場の退職ルールを総務・人事や雇用契約書などで確認しておき、転職に影響しないように留意しましょう。
4. 医師が転職を考えるタイミングとは
医師が転職を考えるのは、次の3つのタイミングです。
- 1.現在の環境に不満があるとき
- 2.キャリアアップをしたいとき
- 3.ライフステージが変化するとき
特に、「2.キャリアアップをしたいとき」という点は、自分の理想とする医師を目指してチャレンジしたい医師にとって、良いタイミングになるところです。
では、それぞれのポイントを紹介します。
4.1 1.現在の環境に不満があるとき
医師が現在の勤務先に不満を持つのは、人間関係や収入・待遇、労働時間といった勤務環境が大きな理由のひとつです。上司や同僚との人間関係がうまくいかず、精神的にストレスを感じている場合や、業務の内容や量に比べて待遇が良くない場合、転職を考えるケースが大半です。
過重労働が健康やプライベートな時間を犠牲にしながら勤務を続けているような場合も、働き方改革に取り組む病院への転職を検討する動機となります。
4.2 2.キャリアアップをしたいとき
「専門の診療スキルや隣接分野の知識・スキルをもっと磨きたい」「新しい環境でこれまでと違った診療にチャレンジしたい」場合も、医師転職を考えるタイミングです。
具体的には、専門医資格の取得や、急性期から療養型など異なる診療形態の病院でのチャレンジ、新しい専門分野や診療科への転向、などが転職のきっかけとして挙げられます。
専門医になるには?医師転職やキャリアアップに有利な資格のポイント
新専門医制度とは?専攻医と専門医との違いを徹底解説
医師のダブルライセンスとは?新たなキャリアを開く資格の可能性
4.3 3.ライフステージが変化するとき
医師自身や家族のライフステージが変化するときも、転職を考える重要なタイミングです。
結婚や育児、介護といった生活スタイルに大きな影響を与える家庭の事情や、人生の後半を意識したセカンドキャリアの検討、都会から地方への移住、Uターンなど生活環境を変えるなど、生き方に応じてさまざまな転職への道が生じます。
5. 医師の転職は売り手市場
医師の転職を成功させるためには、転職市場の動向を知っておく必要があります。
実際、現況の転職状況はどのようなものなのでしょうか。
5.1 医師転職全般の最新動向
近年、国を中心に医師の働き方改革が進められている背景もあり、医師転職市場は活発に動いています。
まず、医師のキャリアパスが多様化しているため、転職を目指す医師が増えてきました。臨床医をはじめ研究医や指導医はもちろん、最近は特に産業医やメディカルドクターなど企業内医師に転職するケースも見受けられます。
特に、求人側のニーズが高く、キャリア形成の重要なポイントとなる、深い知識と技術を持った専門医のニーズが高まっています。
また、厚生労働省や自治体、医師会などにより、働き方改革が推進され、ワーク・ライフ・バランスをアピールする病院も増加しています。長時間労働や過重労働などを職場全体で取り組み、よりより人材の受け入れ体制が整った医療機関への転職はますますスタンダードになるでしょう。
さらに、地域医療への関心やデジタル技術の拡大、女性医師の転職支援など、今後の医療現場に大きく影響するような動きも、医師の転職が活発になっている理由です。
5.2 診療科目別の求人動向
主な診療科目別の求人動向に関して、一般的な傾向をまとめて紹介します。
・内科・総合診療医
かかりつけ医制度の発足以来、一次医療を担う市中病院やクリニックでの一般内科や総合診療医のニーズが高まっています。高齢者や障がい者、子育て支援などを含めた地域医療をカバーする医師も不足しています。
・外科
外科医は、高度な手術スキルと経験を必要とし、重篤な疾病やケガなどに対応する急性期病院でのニーズが高いため、転職市場でもとくに人気です。
・小児科・産婦人科
小児科医や産婦人科は、労働時間がハードで医療リスクが高いため、全国的に不足しており、求人数も豊富です。
・精神科・皮膚科・美容整形
特にコロナ禍以降、社会に不安感が覆う中で、メンタルヘルスに対する精神科医のニーズは全国的に高まっています。また、皮膚科や美容整形も、美への意識の変化に応じて、都市部で需要は安定して高くなっている一方、地方では医師が不足しています。
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5.3 地域別の求人動向
地域ごとに医療ニーズや医療施設数、人口密度などがさまざまなため、医師の転職市場の傾向は、大きく異なります。
ここでは、都市部と地方に大きく分けて、おおよその特徴の違いを紹介します。
・都市部の求人動向
都市部では、大学病院や総合病院などが集中しているため、高度な医療技術や知識を必要とする専門性の高い求人が多く見られます。ただ、給与・待遇や労働条件の良い求人が多いこと、都市で生活する需要が高いこともあって、競争は激化しています。
また、都市部では美容医療や先端医療に対する患者ニーズが高いことも特徴です。
・地方の求人動向
地方では、地域医療の観点から、幅広い年齢層や病気・ケガに対応できる一般内科医や家庭医療専門医などプライマリ・ケアの需要が高くなっています。
また、過疎化地域や中山間地域などを中心に、人口減少の進む地域ほど医師の需要が高くなります。地方では医師不足が深刻です。国や自治体などが地域医療に対する補助金制度などを拡充しています。例えば、一定期間地域医療に携わった医師には認定医師としてインセンティブ制度を整備するなど、キャリア形成にも役立つ制度活用が見込めます。
さらに、加速する高齢化に対応するため、高齢者医療への需要も高い傾向があります。地方では人口に占める高齢者の割合が高く、プライマリ・ケアや認知症治療など、高齢者に特化した医療を提供する医師の需要は今後も高まることが予測されています。
こうした転職市場の最新動向は、実際の求人案件にも色濃く反映されています。
ただ、毎日多忙を極める医師が転職に必要な情報収集や検討作業をするのは、大変です。
効率よく自分に合ったスタイルで転職活動を進めるためにも、転職エージェントの活用は必要不可欠といえるでしょう。
まとめ
この記事では、医師の転職活動を効率よく進めるための基本的なポイントと転職市場の状況を解説しました。
特に、初めて転職を検討する医師にとって、転職エージェントの活用は、転職活動を効率よくスムーズに行うためにぜひ意識したいポイントです。
医師転職の成功には、転職の流れをつかみ、転職エージェントのサポートを受けながら具体的にひとつずつ行動していく必要があります。なぜ転職をしたいのか、キャリアプランや勤務環境・条件、都会と地方といった地域性など、わからない点は転職エージェントのスタッフに気軽に相談し、実施の応募・面接へとつなげます。
まずは、情報収集と転職エージェントの登録からスタートし、自分の転職イメージを具体的な希望条件にまでリストアップすることをおすすめします。